ソフトバンクが、柳田悠岐外野手の今季1号逆転満塁本塁打で開幕2連勝を飾った。

2点差に迫った4回2死満塁で、西武今井から右中間へ豪快な一発。自己最多36本塁打の更新どころか、50発の大台すら現実味を感じさせる、ド派手な今季初アーチだった。

一瞬の出来事だった。強烈な弾丸ライナーが右中間席まで失速することなく飛んだ。劣勢から2点差に迫った4回2死満塁。西武今井の初球、甘く入ったスライダーに柳田の体が反応した。「リラックスして打席に入った。たまたまホームランになりました。満塁ホームランはでかい」。逆転の今季1号グランドスラムで、開幕2連勝を決めた。

今年の柳田は「モノマネ名人」だ。阪神糸井や西武秋山、DeNA筒香ら、左の好打者のヒット映像集を食い入るように見た。「いいバッターは構え方もいい」。打席への入り方や構えを遊び半分でマネしながら、ヒントに変えた。フォームだけではない。バットの素材も今季、「メープル」から「イエローバーチ」に変更した。オリックス吉田正が使用しているもので、2月の宮崎で触らせてもらった。試してみると、従来よりしなりやすい素材の打感が気に入った。立ち止まらず周りからヒントを得て進化する。日本最強打者の1人になっても、自然と他者をリスペクトできる柳田の強みだ。

支配下復帰した川原とお立ち台で並んだことも、感慨深かった。「カワちゃんはプエルトリコでの命の恩人」。柳田が1年目オフのウインター・リーグにともに参加。金欠に陥った窮地で水などを分けてもらった恩がある。「一緒に上がれてうれしいっす」。自分のことより喜んだ。

「果てしなく!」。今季の本塁打数がどこまで伸びるか、柳田は冗談交じりにこう表現した。昨季の36本が自己最多。OB小久保氏の44本超えを目標とするが、50発超えも夢ではない。王球団会長も主砲の高い目標に「その意気や良し! 狙わないものは手に入らないからね」と笑った。今年は果てしなくアーチを描いてくれる。そんな夢を感じさせる1発だった。【山本大地】