DeNA今永昇太投手(25)がリーグ防御率1、2位対決を制してチームの連敗を5で止めた。試合前まで0・98の左腕は、1・55の広島床田とレフティー同士のマッチアップ。5回1死まで無安打投球で7回を3安打2失点にまとめ、5回6失点でKOされた床田に完勝した。防御率1・19と高水準を維持し、反攻への起点をつくった。

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今永は模索しながら、最良の形を発見した。3回、投手床田にストレートで四球を出し、続く野間の2球目まで6球連続ボール。一呼吸置いて、その場を切り抜け、自らを俯瞰(ふかん)した。「バランスが崩れている。歩数が半歩多くて、右足が着く前に腕が出てしまっている」。歩幅を修正して中盤に向かった。

無安打投球から一転、5回に田中広に今季初本塁打を献上し、2失点。「6回にギアを入れた」。2番菊池涼から始まる好打順。くせ者を遊直に打ち取り、前打席まで顔の高さほどの直球を空振りさせていたバティスタは内角低めで三ゴロに。最後は要警戒で2四球を与えていた4番鈴木を149キロの内角直球で見逃し三振に仕留めた。「右足が着いて腕が遅れて出てくるようになり、リリースが前になった。これが1個の引き出しになってくれる」と先を見据えた収穫も得た。

最大の収穫は今季2戦2敗、防御率1・13に封じられていた床田に勝ち、チームの連敗を止めたことだ。「好投手に食らいついていこう。勝ちにつながる投球をしようと思った」。入団4年目。Aクラス争いしか知らなかったが、初めてチームの大不振に身を置く。「その中でも筒香さん、ロペスはミーティングを開いてくれる。投手陣も悲観した雰囲気ではない。苦しい中で自分も精神的支柱になれるように。そのための試練だと思う」。苦境を脱皮への契機と捉えている。

最下位だがリーグを代表する投手に化ける過程にある。「自分が投げる試合で勝てるように」。今永が再浮上のカギを握る。【広重竜太郎】