106日ぶりの白星に、白い歯がこぼれた。日本ハム杉浦稔大投手(27)が、6回を2安打無失点。ほぼ完璧な投球で、5月23日楽天戦(札幌ドーム)以来の今季3勝目を手にした右腕は「長い間勝てなくて申し訳なく、情けなくもあったので、勝てて良かったです」と充実感を漂わせた。

伸びのある直球と鋭く落ちるフォークボールに、相手打線はタジタジだった。2回1死一、二塁では、フルカウントからの7球目、147キロの直球を外角いっぱいに投げ込み、空振り三振。飛び出していた二走を女房役の清水が刺し、併殺で先制のピンチを脱した。4回までに6奪三振。「ストライクを取りに行く球と、三振を取りに行く球を意識して投げられた」と、危なげなかった。

生まれも育ちも北海道だからこそ「9月6日」は、誰よりも特別な意味を持つ。ちょうど1年前の北海道胆振東部地震。自然災害の恐ろしさを痛感するとともに、プロ野球選手としての使命を再確認した。「特別な試合。連敗もしていたし、ここで止めたいと臨んだ試合だった」。チームを連敗脱出へ導いた88球。「野球が出来ることに感謝して、試合の中で諦めない姿勢を見せられた」と、まだ満足はしていない。【中島宙恵】