西武が投手陣の奮闘で、優勝マジックを5とした。先発した十亀剣投手(31)が8回途中無失点で2カ月ぶりの白星。

今月13日に第1子となる長女が誕生したばかりで、パパ初勝利を挙げた。後を受けたリリーフ陣も完封リレーを完成させる力投で、2試合連続の無失点はチーム2年ぶり。シーズン最終盤で投手陣も盤石の体制が整い、優勝へのカウントダウンが始まった。

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心を落ち着けて、目の前の打者だけに集中した。十亀は初回先頭から8人連続凡打の完璧な立ち上がり。「コースにしっかり投げ込めた。早め早めという意識がよかった」。早打ちの日本ハム打線をテンポよく打ち取っていく。3回3アウト目からは9者連続の凡打。無四球の安定感は、チームに落ち着きをもたらす。初回の1点、6回の1点と、2点のリードをしっかりと守り抜き5勝目を挙げた。

7月16日以来勝てていなかった。その裏で、秘密兵器を導入。連勝を続けるニールが使っていた「コア・ベロシティ・ベルト」を取り入れた。腰にゴムを巻いて軸足でバランスを保ちながら、マウンドの下から引っ張られるトレーニング。9月上旬に始め、「ニールからいい影響をもらっている」。前回12日ソフトバンク戦から、14イニング連続無失点と結果に結びつけた。

首位攻防の合間に、パパになった。前回登板翌日の13日に第1子の長女が誕生した。練習後に夫人の実家がある和歌山へ飛び、抱っこ。「ちっちゃかったですね。父親になったんだと。うれしいのひと言」。パパ初登板初勝利。「昨日も完封リレーだった。プレッシャーはかかっていた。僕自身勝てていなかったので、いい機会で勝てたことがよかった」。先発投手とパパの自覚を胸にマウンドで奮い立った。

2試合連続完封リレーに辻監督は「十亀はていねいに低めにコントロールよく投げていた。どうしたんでしょう? この大事な時期にきて。防御率ゼロ。素晴らしい」と目尻を下げた。これでマジックは1つ減らして5。今日20日が本拠地最終戦になる。「優勝を争っている中で、いい試合をして勝利を収めたい」。ホームで有終の美を飾り、優勝へのロードへと向かうつもりだ。【栗田成芳】