プロ野球の快記録や珍記録を振り返る「データで見る19年」を今日から13回連載します。プロ野球を球団別に12回連載。続いて日本人大リーガーを取り上げます。第1回はヤクルト。高卒2年目で36本塁打を放った村上宗隆内野手(19)を取り上げます。

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高卒2年目の村上が36本塁打、96打点をマークした。高卒2年目以内に36本塁打は53年中西(西鉄=2年目)に並ぶ最多本数で、打点は53年中西の86打点を抜いて最多。00年2月生まれの村上はまだ19歳で、19歳シーズンでは86年清原(西武)の31本塁打と78打点を抜く最多記録だ。7月3日広島戦で満塁本塁打、8月12日DeNA戦ではサヨナラ本塁打を放った。10代の満塁弾は15人目(17本目)で、サヨナラ弾は5人目。19歳6カ月は53年森下(南海)の19歳7カ月を抜く最年少サヨナラ本塁打だった。60年王(巨人)と09年坂本(巨人)が20歳4カ月で「満塁」と「サヨナラ」を記録したが、10代で両方打ったのは初めて。次は40本塁打と100打点の最年少記録更新が目標になる。

1年目の村上は6試合で1本塁打。前年から本塁打を35本以上増やしたのは07年7本→08年46本の中村(西武)以来7人目だ(新外国人は除く)。04年小久保(巨人)や80年門田(南海)ら実績のある選手がケガから復活したケースが上位の中、村上は前年まで通算1本塁打。通算1本塁打以下では、来日1年目の87年が不出場で88年に38本のバークレオ(西武)に次ぐ大幅増。日本人選手では前年0本、通算1本だった18年岡本(巨人)の33本を抜く大ブレークとなった。

36本打った53年中西はリーグ2位の打率3割1分4厘を記録したが、村上の打率はセ・リーグ最下位の2割3分1厘。打率がリーグ最下位で30本以上は11年バレンティン(ヤクルト)以来7人目となり、30本以上では6番目の低打率。30本以上の低打率10傑中、日本人選手は村上だけだ。村上の184三振は史上4番目の多さで、日本人選手の最多三振記録。三振が多く、低打率でも1発量産と言えば外国人選手。19歳の村上が助っ人のような数字を残した。【伊藤友一】

▼ヤクルトは5月14日~6月1日にリーグワーストタイの16連敗を喫し、2年ぶりの最下位。交流戦は6カードすべて1勝2敗で、セ・リーグの5球団にも負け越し。交流戦がスタートした05年以降、全11球団に負け越しはヤクルトが初めてだ。優勝した巨人に次いでリーグ2位の656得点を記録しながら、739失点で防御率が4・78。チーム防御率は84年の4・76を抜く球団ワーストで、5得点以上挙げた試合でも19敗した。山田、村上、バレンティンの3人が30本塁打以上したが、30発トリオが誕生してBクラスはプロ野球史上初めてだった。