開幕投手、候補が各地で好投した。楽天則本昂大投手(29)は24日、中日とのオープン戦(北谷)で先発し、3回2安打1失点(自責点0)。新球ナックルカーブを決め球に使用する新たな配球を披露した。

これまでは決め球にフォーク、スライダーを多用しており、投球の幅を広げる狙いがある。前日に2年ぶり6度目の開幕投手に決定。一夜明け、大役にふさわしい調整ぶりを示した。

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いつもの、ではなかった。則本昂が選択したのはオフから習得に取り組むナックルカーブだった。2回、中日先頭の阿部を2球で追い込むと、捕手太田と6度のサイン交換を経て、うなずいた。真ん中低めへ縦に大きく割れる118キロでタイミングをずらし三ゴロ。「決め球にもできたらいいなと思っていた。なかなかシーズンでもやらないような配球をしてみたり、チャレンジできたのでよかった」と大きな収穫だ。

チャレンジの先にあるものとは。「配球の偏りがここ数年はある。違う攻め方ができたらいいな、とはずっと思っていた」。消えるフォーク、切れるスライダー。2つの宝刀を軸に1245個の奪三振を重ねたが「データとしてこのカウントならフォークとか自分でも分かっていた」とマンネリ感を覚えていた。「モデルチェンジではないですけど、また違う視点からピッチングしてもおもしろい。相手もそのデータを見て作戦を立ててくる。そこは互いに駆け引き」。終わりのない戦いに勝利し続けるために、進化をやめない。

前日、三木監督から開幕投手を伝えられた。昨年も内定していたが、開幕前に右肘をクリーニング手術し回避。「仙台での開幕戦なので何とか勝ちたい。去年投げられなかったこともあるので」と一層の思いが募る。さらに今年の大役は「新監督の初陣」のドラが乗る。「新体制になった1発目の試合は大事。僕が、というあれではないですけど、チーム全員で勝ちを拾えたら」。エースがいつも通りの投球を約束した。【桑原幹久】