ソフトバンク東浜巨投手が、97球に魂を込めて4勝目を手にした。

8回まで6安打無失点。何度もピンチを背負いながらも、粘りの投球でホームを踏ませなかった。試合後、東浜は「今日はずっと(試合の)入りから…」。そう言うと、こらえていた悲しみを抑えきれず、声を詰まらせた。前日16日に川村コンディショニング担当が死去。天国の恩人にささげる勝利でもあった。

「入団してから、ずっとお世話になったコーチ。ずっとそのことを思いながら投げてました」。プロ3年目で壁にぶつかり、トレーニング方法を相談したのが川村さんだった。「昨年、右肘手術後、リハビリ組でも常に前向きなことを伝えてくれてました。今のトレーナーも紹介してもらって1軍で活躍できるようになった。ボクにとっては恩人です。今日は背中を押してくれたかなと思います」。天国の恩人の温かな視線を背中で感じながら、今季最長の8回を投げきった。これで18年からドーム球場8連勝となった。

「悲しいですが、頑張っている姿を見せ続けるのが僕らの仕事だと思う」。手にしたウイニングボールは恩人の墓前に供える。