火の玉ストレート最終章! 阪神藤川球児投手(40)が今季限りの現役引退表明後、初めて実戦登板した。ウエスタン・リーグ、オリックス戦(鳴尾浜)の7回に登場。52日ぶりのマウンドで1回を無失点に抑えた。残り33試合となったラストシーズンに向け、1軍復帰に意欲を示した。この日は最速147キロを計測した代名詞の直球も、150キロの大台到達で完全燃焼する思いを語った。

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藤川が完全燃焼へのリスタートを切った。同点の7回に2番手で登板。安打と四球で1死一、二塁のピンチも、根本をフォークで空振り三振。続く比屋根を144キロ直球で左飛に打ち取った。実戦登板は8月10日DeNA戦(横浜)以来、52日ぶり。8月31日の引退発表後は初めてのマウンドで1回無失点。「10月に復帰するという(引退会見での)約束だったので。現役も、あと40日くらいだから、楽しみながらやろうと」。投げ終えた後には笑みも浮かべた。

右上肢のコンディション不良で戦線を離脱。右腕の状態は限界に近づいている。決して万全ではないが、1軍復帰への熱い思いは変わらない。2日から宿敵を本拠地に迎えて4連戦に臨む。

「1軍は明日からジャイアンツ戦。可能性は限りなくゼロに近いけど、呼ばれるようなことがあれば、コンディションは別にして精いっぱいやってみたいというのはある」

引退会見でも明かしていたように、プロ入りから打倒巨人に執念を燃やしてきた。満身創痍(そうい)の体とは裏腹に、うずく気持ちが言葉ににじんだ。2日からの広島3連戦(由宇)には同行せず、鳴尾浜で残留調整に取り組む方向だ。 ラストシーズンは残り33試合。この日の最速は後藤の3球目に投じた147キロ。ファンも甲子園で火の玉ストレートを見たい。「何とか最後にいい形で、応援してくれた人たちにいいボールを見せたい。120キロのボールじゃなくて、150キロを最後に見せたいね無理だろうな、でもかろうじて狙えるかな、と」。直球は最後までこだわり抜く決意だ。

チーム内のコロナ禍でブルペン陣も苦しく、状況次第では早期昇格の可能性もある。あと5つに迫った日米通算250セーブなど、ファンは背番号22の勇姿を待ちわびている。「これからアドレナリンを出して、みんなの前で投げたいという思いは強く持っていけたら」。藤川球児伝説の最終章へ、再び歩み始めた。【奥田隼人】

 

▽阪神平田2軍監督(復帰登板の藤川について)「久しぶりのマウンドで感触を楽しんでるような感じだね。今日から10月、そういった意味では球児の存在は必ず(1軍で)必要となってくる」