主将の自覚だ。広島鈴木誠也外野手(26)が沖縄春季キャンプ初日からリーダーシップを発揮した。円陣で声出し役を務めると、ベースランニングでは先頭で走り、全体練習後もバットを振った。春季キャンプ初日からのフルメニュー消化は4年ぶり。言葉だけでなく、背中でもチームを引っ張っていく。

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無観客のコザしんきんスタジアムに、新主将鈴木誠の声が響いた。「1人1人がチームが何を求めているのか、何をしないといけないのかをしっかり考えて、このキャンプ1日、1日大切に取り組んでいきましょう」。ウオーミングアップ前に首脳陣、参加全選手が集まった円陣の中心で、珍しく思いを言葉にした新主将のメッセージから、春季キャンプが幕を開けた。

2年連続Bクラスから再び上位争いするためには、個々の意識改革、若手の底上げは欠かせない。若手の1人として3連覇したチームにいた鈴木誠だからこそ、伝えられるものがある。「(若手は)結果を出さないといけないし、逃げるような姿勢が見えても言われたりするので難しいけど、少しでも伝えられたら」。キャンプ前に自身の役割の一端を口にしていた。

フリー打撃では新外国人クロンの視線をくぎ付けにした。69スイングで柵越え2本も、中堅から右方向へライナーで打ち返した。ただ、打球方向も柵越えの数も本人にはあまり興味がない。春季キャンプは新たな感覚を試す期間。朝山打撃コーチも「理想が高いから、いろいろなことに挑戦している」と話すように、この日は左足を上げた際、極端に軸足に体重を残した打ち方を試していた。

言葉以上に、背中で引っ張る。投手も加わったベースランニングでは先頭で走り、17年以来4年ぶりにキャンプ初日からフルメニューを消化。ケガや自主性に任されるなど一部別メニューの始動が続いていたが、今年は初日から全体練習に加え、自主的に居残り特打も行った。「僕自身がやることは変わらない。今まで通りしっかり結果出せるように頑張りたい」。主将としての自覚は芽生えたばかりだが、主砲としての自覚はすでに強く持っている。【前原淳】

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