新たな1歩を踏み出した。オリックス増井浩俊投手(36)が今季初登板初先発のマウンドで5回2安打無失点と好投し、今季初勝利をつかんだ。最速150キロの直球と緩急を生かしたカーブ、先発再転向後に習得したシュートにチェンジアップ、代名詞のフォークで有効的に組み立て、王者・タカ打線を封じ込めた。

「初回に大量リード(6点)をもらって、気持ちも楽に、大胆に攻められた。今、コンディションがすごくいい。どの球も制球できていた。ニュースタイルの投球ができた」

変化を恐れない。日本ハム在籍時の12年には最優秀中継ぎ投手に輝くなど、157ホールド、163セーブを誇るが、昨季、チーム事情もあり先発に再転向した。「クローザーのときは力いっぱいに投げていた。今は『どんな球でも打ち取れるんだ』と。あんなにムキになって三振を狙っていたのに、緩いカーブでもアウトにできる。いろんな方法がある」と学びがある。

山本、宮城、山岡、田嶋、山崎福…。チームは充実の先発ローテーションを組んでいる。6月で37歳を迎える右腕は、本音を漏らす。「必死です。本当に。しがみついて先発ローテに入れるように、1試合1試合結果を求めて投げていく立場なので」。チームの投手陣は20代前半の年齢構成で「投手陣、みんな若いですよ。もちろん、若い選手に負けたくない」と力を込める。増井より年上は41歳の能見投手兼任コーチ、38歳の比嘉、4年ぶりに古巣復帰した37歳の平野佳の3投手で「上の方にも負けないように頑張らないといけない」と奮起する。

新人時代の10年は先発起用されていたが、その後は救援起用されていたため、オフの先発調整は「思い出すというか初めてぐらいの感覚」と笑う。「新人のときは何もわからなかったんで。先発か中継ぎかも分からなかった。ちゃんと先発を見据えた調整は初めて。未知な部分もある」と話すが「先発になってわかったこともある」と表情は明るい。

通算535試合目。そのうち508試合が救援登板で、この日は27試合目の先発マウンド。「投げやすいですよ、やっぱり。キレイなんで。足場を気にせずスタートできる」と左足の着地点を自分の右足で掘る。慣れているのは「誰か」の痕跡。「リリーフは『あ、今日はこういう形からスタートか』てね。先発は、足場を自分で作っていける」。足跡を刻む。まっさらなマウンドでも「増井浩俊」を表現する。【真柴健】

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