オリックス山本由伸投手(23)が、今季2度目となる完封勝利を飾り、リーグトップに並ぶ11勝目をマークした。9回4安打無失点。106球で9三振を奪う投球で三塁すら踏ませなかった。2戦連続完投勝利で、自身8連勝。これでチームは貯金11。真夏に波に乗るヨシノブが、25年ぶりVへ先導する。

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興奮を隠さず、絶叫した。106球目、内角フォークをストンと落とした山本は、グラブをたたいた。2点リードの9回2死一塁、迎えるは柳田。本塁打が出れば同点のピンチも、冷静さを保った。「1発だけ警戒して、落ち着いて投げようと。力まず、全力で」。フルカウントからの8球目、バットが空を切った。9回4安打で今季2度目の完封勝利。無四球で9三振を奪う投球に“力まず全力”。この言葉がピタリとはまる。2戦連続の完投に「よりチームに貢献できた」と充実の表情を見せた。

東京五輪で金メダル獲得に貢献した若き剛腕は、進化を止めない。5回1死、中村晃への2球目で国内自己最速タイの157キロを計測。「調子自体は…。試合前、まとまりきってなかったので、多少不安はあった」と振り返った。それでも耐えて勝った。

週に1度の先発登板。疲労回復法を試行錯誤。「いろいろ試したんですけど、やっぱり基本は睡眠と食事ですね」とシンプル思考にたどり着いた。日付が変わる前の就寝を心掛けるが「寝るのが下手で…、浅いんです。だから、よく夢を見てしまう」と、マウンドとは裏腹に自室では苦戦中。至福の時間は「目覚まし時計をセットせずに寝る」ことだ。球団では14年西以来となる自身8連勝。28日は土曜日ながらナイター。快投でぐっすりと眠りに就ける。

中嶋監督は「ナイスピッチングです。コントロール、キレ、全てよかった」と脱帽し「最後まで完走してほしい」と期待を込めた。前日26日には「もちろん負けられない」とライバル心をのぞかせていた後輩宮城に並ぶリーグトップタイの11勝目。山本は「ここからまた連勝が始まったらいいなと思う」と28日に先発する20歳左腕にエール。ハイレベルなチーム内競争を刺激に、左右の両輪が首位快走の原動力になる。【真柴健】

▼山本が4安打完封勝利で5月28日ヤクルト戦から8連勝。オリックス投手のシーズン8連勝は、14年に開幕8連勝した西以来となった。今季の完封勝ちは4月1日以来2度目で、2試合ともソフトバンク戦。同カードでシーズン2完封した投手は12年田中(楽天)以来で、オリックスでは89年星野以来32年ぶり。