ここまで20年の西武人生を栗山とともに歩んできた中村剛也内野手(38)。同期入団だからこその視点で、2000安打を積み重ねてきた打撃フォームの感想を語ってくれました。

   --◆--◆--◆--

クリ、2000安打達成おめでとうございます。やっと到達できましたね。もうちょっと早く達成できると思っていたけど、思ったより時間がかかったんじゃないかな(笑い)。

打撃というのは毎年、毎年、変化していくものだけど、その中でもクリの追求心、探求心には、出会って20年たつけど、いつも驚かされてます。

     ◇  ◇  ◇

自然体で構えている(1)から(4)まで、無駄な動きがない。若い頃を思い出してみると、右足を高く上げたり、バットの反動を使って強くコンタクトしようとしているように見えた。でも今は、技術的なところが上がって、シンプルで最小限の動きで強く打てるようになってきたんだと思う。

大きな特徴としては、右投げ左打ちなのに、右投げ右打ちとか左投げ左打ちのようなバッティングをしているとこ。(5)から(7)を見ると、打ちにいくときにちょっとだけボールに寄っていて、左膝が内側に入るのが少しだけ早いけど、右投げ左打ちっぽいとこはそこだけ。(8)では後ろにためたパワーを右足で受け止めている。そして一番の特徴は、打つポイントが近いとこ。これだけ引き付けて打てれば、選球眼も良くなるよね。詰まっても、利き腕じゃない後ろの左腕で押し込める。ここまでポイントを近くして打てる右投げ左打ちのバッターはいないんじゃないかな。

僕はボールとの距離を取って遠くに飛ばそうとするタイプ。ここの部分が僕との一番の違いかな。タイプが違うから、打つポイントが違うのも当たり前なんだけどね。

あと、共通点というか、似ていると思うのは、右足の壁の作り方。右打ちの僕の場合は左足なんだけど、壁は前の足で体の勢いを止めるようにして「間」を作っていくイメージ。打撃は基本的に体重移動するから、前の足で勢いを止めないと体重が流れてしまう。そうなると強いスイングができなくなる。だから前の足で壁を作るんだけど、慌てて止めるような感じで壁を作ると「間」がなくなる。ジワッという感じで強く止める。前足でためて変化球を普通に打つとか。ここはクリが似てるというより、僕が似てるって感じかな。

もう1つ、(9)から(11)の打ち終わったフィニッシュが、右投げ左打ちの人は体が一塁側に流れるけど、クリはしっかり体を回して打てる。去年、コロナによる自粛期間中に、スピンの利いたライナー性の打球を打とうとしていた。しっかり打たないとスピンはかからないし、そういう姿勢が、こういう形につながっているんでしょうね。

誤解を恐れずに言わせてもらうと、クリはどちらかというとちょっと不器用。そして努力の人。僕は考えても、すぐに飽きちゃう。「ああもういいわ」って。でもクリは深く考えられる。深く考えすぎるとドツボに入ったり、深いとこ入って出られなくなるんだけど、クリの場合はそれでもそこからちゃんと出てくる。出てきてまた、違うとこへ入っていく。普段何もしていないときからメッチャ考えているんでしょうね。その積み重ねが、2000本につながったんだと思います。(西武ライオンズ内野手)