楽天浅村栄斗内野手(30)が逆転の14号2ランを放ち、チームを勝利に導いた。1点を追う3回1死一塁、西武浜屋の初球を左中間席中段に運んだ。今月初旬に不調で先発を外れ代打待機が続いたが、12日ロッテ戦から本格的に先発復帰。そこから7試合で4本塁打をマークする。当たりの戻ってきた主砲を軸に、最後まであきらめず、優勝を目指していく。

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打った瞬間、敵地の西武ファンからため息がもれるほど、完璧な1発だった。3回1死一塁。浅村が真ん中低めの126キロチェンジアップをすくい上げると、高々と舞い上がった打球は左中間席中段ではずんだ。先制を許した直後に試合をひっくり返す14号2ラン。「甘い球が来たら(初球から)いこうと思っていました。感触は良かったです」と振り返った。

頼れる主砲の一撃に、石井GM兼監督も「アサのホームランは、ほんとに非常に大きかったですね。1点(先取点を)取られて、その後にどういう展開になっていくんだろうという矢先で、すぐひっくり返せたので」と納得の表情だ。

今季は開幕から島内とともに、ときには3番、ときには4番と、入れ替わりながら主軸としてチームを支えてきた。さらに8月には侍ジャパンとして東京五輪の金メダル獲得に貢献。休みなく戦い続けてきた。

しかし、9月初旬に移籍3年目で初めてスタメンを外れるなど不調が続いた。代打でも快音を残せなかったが、指揮官は「キャリアを持ってる選手は、長年培ってきた自分のアプローチがある。不調の脱し方は個々にあると思うので、そこはあんまり気にしてない」と慌てず復活を待っていた。そして、満を持して12日ロッテ戦で本格的に戦列復帰してからは、7試合で30打数9安打の打率3割、4本塁打と調子も上向きだ。

いよいよ終盤戦。さらに重要な戦いが続いていくが「いいところでヒットを打つ、ランナーをかえす、チャンスメークをする、というのが求められていることだと思うので、しっかり集中してやっていきたいと思います」。完全復活した浅村が、チームを再加速させていく。【鈴木正章】