阪神のドラフト6位ルーキー中野拓夢内野手(25)が球団新人安打記録で単独9位に躍り出た。

1回1死、大貫に対してフルカウントからファウルで2球粘る。最後は内角高め148キロを詰まりながら中前に落とした。この1本が80年岡田彰布の109安打を上回る今季110安打。「素晴らしい方の記録を超えられた。これからも1本ずつ積み重ねていきたい」と謙虚にさらなる上積みを誓った。

2点リードの5回2死でも2ストライクと追い込まれながら、外寄りスライダーを中前へ。「なんとか粘り強く出塁してという形が自分の強みでもあり、自分に求められているところでもある。追い込まれても対応することができて良かった」。3試合ぶりのマルチ安打を記録し、安打数は111に伸びた。

7回無死一、二塁、9回無死一塁では難なく初球からバントを決め、リーグ最多の犠打数も19まで増加。「気持ちの余裕が1番」と胸を張る。「早めに構えて、前でやる」。地道な練習で犠打の精度をアップさせ、8月下旬からすっかり2番に定着している。

矢野監督も「まだ1年目だし、前半戦は作戦に対してどうかなというのがなかなか見えてなくて不安なところもあった。そういうところも成長してくれている」と手放しで評価。もう、26盗塁でもタイトル争いをリードする韋駄天(いだてん)を抜きに、逆転Vは想像できない。【佐井陽介】