日本ハム近藤健介外野手(28)が10年目で初めて2桁本塁打をマークした。西武24回戦(メットライフドーム)の2回に右中間へ先制10号ソロを放って、目標としていた節目に到達。試合前には19日の引退試合で最後の対戦打者として対峙(たいじ)した西武松坂からサインをもらうなど、横浜高の大先輩から激励も受けた。チームは逆転負けで最下位に逆戻りとなったが、近藤にとってはさらなる進化を誓う1日となった。

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近藤が狙い澄まして、仕留めた。2回先頭。初回から直球が多かった西武先発の松本が投じた、高めに浮いた146キロ直球を「1、2の3で振りました」。高い弾道の放物線は、右中間スタンドへ吸い込まれる先制の10号ソロ。「目標でした」と、こちらも狙い続けていた2桁本塁打にプロ10年目で初めて到達した。

長打を意識した打撃が、はまり始めている。「三振も増えていますけど、しっかりと自分のポイントまで呼び込まないと強く振れない」。三振しても「投手が、いいボールを投げたと思っている」と気にしすぎず、強いスイングで遠くへ飛ばす意識が後半戦から強くなり、安打も増えた。

数字が物語る。前半戦は2割8分2厘だった打率は、後半戦に限れば3割1分8厘。通算のシーズン打率も2割9分7厘と3割まで、あと1歩と着実に成果が出ている。手応えある打撃で「もっと本塁打を打てれば、チームに貢献できると思う。来季以降も、その目標(2桁本塁打)は変わらない」。

自信を持って言った近藤は試合前、さらなる進化を誓う出来事があった。前夜、引退試合を行った西武松坂と一夜明けで顔を合わせると「昨日は、ありがとう」と感謝の気持ちを伝えられた。

近藤 こちらこそ本当に一生にない経験をさせてもらいました。横浜高校の偉大な先輩の分も、これから頑張りたいなと思います。

胴上げ参加時に着用していた記念Tシャツにサインをもらい、記念撮影にも応じてもらった。ちなみに、最後の対戦は1度も振らなかったが、その真意は「真剣勝負で、と言っていたので。常に振るつもりではいました」とのこと。自らの節目も刻んだ今季最後のメットライフドーム2連戦は、今後の野球人生に向けて大きな発奮材料を得た舞台となった。【木下大輔】