流れは完全にロッテ佐藤都志也捕手(24)のものだった。本人も感じた。「回ってくる打順の巡り合わせを見て、今日は俺が決める日だなと思って打席に立ちました」。

ベンチで井口資仁監督(47)も同じことを考えた。「今日ああいう形で、本当にいい形で都志也がプレーしたので、最後は都志也かなと思いながらもずっと見てたんですけどね」。

10回1死満塁。思いが一致する中での、右翼へのサヨナラ犠飛だった。

開幕戦から5番打者に座る。井口監督は「打つことに関してはずっと期待している選手」と話す。試合前には「彼がいろいろなところで全試合、全イニング出るということが大事なことだと思っています」と高い期待で中軸に送り出す。

一塁手で5試合、捕手で1試合。試合途中で一塁から捕手に回ったのも1試合あった。2つのミットでの奮闘を、指揮官も頼もしく見つめる。「本人がずっと試合に出てる喜びみたいなのを感じながらやってるのかなと思います」。

この日もバントシフトで猛ダッシュし、三塁で2度、フォースアウトにした。一塁へのショートバウンド送球も全身を使って懸命に捕る。その中の1つでもミスしていれば、試合に敗れていた可能性もある。経験はあるものの決して本職ではない。「いい緊張感の中でああいうプレーができたというのは、いい経験になりました」と表情にも充実感があふれる。

マスクをかぶっていると「ああいうプレーって助かるなって、自分でも思います」と言う。「共同作業、カバーのし合いだなとあらためて感じるところだったので。これからも助けられる時は助けていきたいなと思います」との言葉が頼もしい。両助っ人の調子がまだ上がらない。佐藤都志也が欠かせない存在になってきた。【金子真仁】