<オリックス3-2西武>◇30日◇京セラドーム大阪

思い描いた景色を堪能した。右肘トミー・ジョン手術から復活したオリックス近藤大亮投手(30)が、人生初のお立ち台に立った。背番号20が無数のフラッシュライトを浴びる。リハビリ期間に夢見たシーンを現実のものとした。

昨季、悲願Vの瞬間は背番号3桁。リハビリ組で、ユニホームを着る日も少なかった。「僕も、あの場にいたいなぁと。人生で一番しんどい時期でした。でも、現実は変わらない」。大阪・舞洲に通勤するマイカーの中で、右肘に激痛が走る。風呂ではシャンプーが思うように流せない。我慢のリハビリ生活を支えてくれたのは愛妻と長男、生まれたばかりの長女だった。

投手でありながら、ボールが投げられない日々にも「手術を受けるという選択に後悔はない」。ひたすら体を鍛える自分との戦い。練習は孤独で「ここを乗り越えたら、みんなと野球ができる」と言い聞かせた。

球団は期待を込めて、背番号20を空けていた。「お立ち台の景色を知らないんで、絶対、立ってみたいんです」。闘魂を込め、自力でたどり着いた。【オリックス担当=真柴健】