“杜(もり)の都の仕事人”が現れた! 楽天川島慶三内野手(38)が、6回に代打で登場。左翼へ一時逆転となる2点適時二塁打を放った。

ソフトバンク時代は勝負強さから仕事人と呼ばれたバットマン。クリムゾンレッドのユニホームに袖を通してから、初仕事となった。

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あなたの白星、頂戴します-。6回1死一、二塁。投手を打ち崩すという“依頼”を受け、川島がゆっくりと打席に入った。好球必打。眼光鋭く、初球からじっくりとボールを見極めた。カウント2-2からの5球目で、DeNA田中健が暴投。二、三塁とチャンスが拡大した。6球目から2球続けて勝負に出たが、ファウル。フルカウントからの8球目、内角低めの143キロ直球を振り抜いた。打球は左翼へ落ち2者生還。「感触は良かったですよ。打った瞬間にヒットになると思いました」。抜群の手応えに、二塁上で笑みをはじけさせた。

やっと仕留められた。開幕1軍をつかんだが、3月31日に新型コロナ陽性が判明。療養後は2軍で調整を続けた。5月29日に1軍へ復帰。チームにとって開幕から54戦目。自身今季6打席目でようやく初安打初打点となった。「ホッとすると同時に次も頑張らないとなぁという気持ち。明日になればまた次のことを考えるので、今日だけ一瞬だけでいいのでホッとさせてください」と胸をなで下ろした。

石井GM兼監督からは、左投手に対する代打の切り札として期待されている。まさに左投手からの一打。与えられた仕事を完璧にこなした。依頼人である指揮官も「結果を出せて本人が一番ホッとしているんじゃないかな」と頬を緩めた。なかなか勝利を積み重ねられていないチーム状況の中、頼れる男がやってきた。バットで敵を討つ。中村主水でも渡辺小五郎でもない-。仙台には川島慶三がいる。【湯本勝大】

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