若きイヌワシ戦士が躍動した。3年目の楽天武藤敦貴外野手(20)が広島3回戦(楽天生命パーク)でプロ初の3安打を放った。4回の先制犠飛に、8回は貴重な2点適時三塁打で3打点。プロ野球19人目となる岸孝之投手(37)の12球団勝利を強力アシストし、本拠地のお立ち台に初めて立った。チームは2連勝で4カードぶり勝ち越し。交流戦ラストの巨人戦を前に、勢いが戻りつつある。

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照明が落ち、グラウンドに設けられたお立ち台にスポットライトが当たる。武藤の“独演会”だった。

「暗くて、あんまり見えないんですけど、僕の気持ちは舞い上がっているんで、めちゃくちゃうれしいです!」

素直な思いを張り上げると、球場が沸いた。隣に立つ12球団勝利の岸も笑顔で見守った。

前日に1軍再昇格を果たし、2日続けて「9番右翼」で出場。1安打した前夜以上の活躍だった。4回に先制犠飛。2-0の8回は、2死二、三塁で左中間を破る2点適時三塁打。直前で炭谷がスクイズを失敗していた。嫌な流れになりかけていただけに、大きな1打だった。2軍で取り組んだ成果だ。「低めを追っ掛けちゃうのが、悪い時のくせ。甘い球を仕留める」。薮田の落ちきらなかったフォークを捉えた。

お立ち台の最後にも笑いを取った。

「ちょっと僕の(応援)タオルを持っている方、あんまりいないんかな。1、2、3…ああ、560! 結構いますね。この緑とオレンジ? のタオル。買ってください!」

ちゃっかり宣伝し、ファンの心をがっちりつかんだ。実は高校までは人前に出るのは避けていたという。だけど…「辰己さんとか、真顔でぼけて、お客さんが笑っている。そういうのを見て、僕も笑いを取りたいなと思うようになりました」。どうすればファンを喜ばせられるか。20歳は考えていた。

もちろん、最高のファンサービスは、さらに活躍してチームが勝つこと。「外野の層は、めちゃめちゃ厚い。満足せず、これからも結果を残していきたい」と誓った。【古川真弥】

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