「ムネニイ」はやっぱりすごい。コロナ禍に襲われたヤクルトの4番村上宗隆内野手(22)が、2年連続両リーグ最速となる30号本塁打を放った。

1回2死一塁、中日小笠原からバックスクリーン左へ先制2ラン。高津監督をはじめ、山田、青木ら選手、スタッフ含め1、2軍合計28人が新型コロナウイルスに感染する苦境の中、頼れる4番のアニキが存在感を発揮。チームは逆転負けしたが、DeNAも敗れたため優勝マジックを「48」に減らした。

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中堅122メートルの広いバンテリンドームも村上には関係なかった。1回2死一塁、カウント1-2からの4球目、小笠原の内角高め148キロ直球を捉えると、敵地ファンのざわめきの中、グングン伸びた打球がバックスクリーン左へ飛び込んだ。監督代行を務める松元作戦コーチらとタッチを交わすと「しっかりと自分のスイングができました。良い角度で上がってくれて先制することができて良かったです」と振り返った。

チームは山田、青木、塩見、中村、長岡、内山壮ら主力野手だけでも6人が離脱。12日に代替選手として2軍から14人を登録した。多くのメンバーが入れ替わる中、開幕からただ1人全試合先発出場を続け、不動の4番を務める。今回の遠征前に「こういう時だからこそより一層、一致団結してやることで力は大きくなるし強くなる。その中心に僕がいることはほんとに自覚しています。僕らチームスワローズは1軍、2軍の選手合わせて勝ちに向かって目の前の試合を全員で戦いたい」と話していた。まさにチームをもり立てる有言実行の1発だった。

6月は23試合で打率4割1分、14本塁打、35打点と打ちまくり、月間MVPを獲得した。しかし7月は、厳しい内角攻めにあい、この日の試合前まで7試合で23打数5安打の打率2割1分7厘、0本塁打、1打点と苦しんだ。それでも自分のスイングを貫き、攻められていた内角を打ち砕く、今月1本目のアーチで存在感をあらためて発揮。松元監督代行も「僕らは何とか村上の前に1人でも多くランナーをためてと考えているので。あそこはさすがのバッティングでしたね」と評価した。

この日は、母校の九州学院(熊本)で4番を務める弟の慶太内野手(3年)が3打数2安打2四球で勝利に貢献。「ムネニイ」と慕われる兄として、最後の夏に挑む身内の活躍が刺激なっているに違いない。

「燕ファミリー」でも本当の家族の中でも、大きな存在となる4番村上。ムネニイ、そして村神様が苦境にも粘り強く活路を見いだしていく。【鈴木正章】

▽松元監督代行(終盤での逆転負けに)「ピッチャーの間隔もけっこう空いているので。試合で1日でも早く、自分の感覚を取り戻すことを期待しています」

▽ヤクルト高橋(6回4安打1失点の力投)「今日はストレートの走りが良かったので、初回からストレートを軸に攻めていきました。全体的には良かったですが、最後の1点がもったいなかったです」

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