まさに「神」の活躍だ。日本ハムは、ルーキー上川畑大悟内野手(25)の適時打で、ロッテ相手にサヨナラ勝ち。二転三転のシーソーゲームを制して、最下位確定を免れた。

この日は、日本一になった06年のOBらが試合前に勢ぞろい。3年ぶりに4万人超の観衆で、本拠地は埋まった。北海道に移転後7年間着用したレジェンドユニホームを着て臨んだ試合は、これで3戦全勝。勝率100%となった。

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4-4で迎えた9回2死二、三塁だった。上川畑は、いつものようにバットを短く持ち、左打席のホームベース寄り、ぎりぎりに立った。カウント2-2からの5球目。ロッテ東條の変化球を、逆方向へ。3年ぶりに4万人超のファンで埋まった本拠地が、興奮に震えた。大歓声の中、自然と拳を握ったルーキーは「いや、どうしようって…」と照れ笑い。名前をもじって、ファンやチームメートから「“神”川畑」と呼ばれるルーキーは「今まで、同点打とかはあったんですけど、ヒーローになるサヨナラヒットを打ったことがないと思うので」。仲間たちの手荒い祝福に、ほおを緩めた。

BIGBOSSが「今年一番」と認める、劇的な幕切れだった。サヨナラの瞬間、両手を広げてベンチを飛び出した新庄監督は「あ~、しびれた」と試合後も興奮冷めやらず「ファンの力って、ものすごいものがある。今日は本当にファンに感謝ですね」と、満員御礼に感謝感激。「上川畑君の打球は、ショートの頭の上を越えて(左前に)落ちるイメージがあった。(前の打者の)石井君に3ボール1ストライクから、ゴロを転がしてもらおうと思って。これが、バッチリ決まった」とし、二ゴロで2死二、三塁の好機をつくった石井に「拍手を送りたいですね」。ヒーローだけでなく、陰の主役の健闘をたたえた。

この日は、日本一になった06年に主力として活躍したOBらが試合前に集結。当時の登場曲だけでなく、稲葉ゼネラルマネジャーの代名詞となった「稲葉ジャンプ」のファンファーレなど、OB選手の応援歌も流れ、球場は懐かしい雰囲気に包まれた。レジェンドユニホームを着用して望んだ試合は、これで3戦全勝と縁起がいい。札幌ドームでの試合も、残り8試合。4勝で、札幌ドーム600勝に到達する。【中島宙恵】

▼ルーキー上川畑が初のサヨナラ打。新人のサヨナラ打は20年6月27日オリックス戦の佐藤(ロッテ)以来で、日本ハムでは15年9月23日ソフトバンク戦の浅間以来7年ぶり。上川畑はドラフト9位で入団。ドラフト9位以下の新人がサヨナラ打を打ったのは、69年4月27日阪神戦でサヨナラ本塁打の島谷(中日=9位)に次いで53年ぶり2人目。

○…今川が約1カ月ぶりのアーチを放ち、自身初の2ケタ10号に乗せた。6回先頭で、初球143キロ直球を左中間席最前列に運んだ。9月から、04~11年まで使用したクラシックユニホームを着用中。現役のファンクラブ会員でもあり「小さい頃から見てきたこのユニホームを着て絶対にヒーローになると臨んだ。最高の気分です」と喜んだ。最後は大観衆に向け「(札幌)ドームでの試合は少ないですが、一緒に戦いましょう。執念!」と締めた。

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