ロッテのリーグ優勝の可能性が、シーズン137試合目で消滅した。残り6試合を全勝しても、最終的な勝率でオリックスを上回ることができない。

井口資仁監督(47)の就任5年目の今季は「頂点を、つかむ。」をスローガンに始動したが、長らく5位に低迷。CS進出の可能性も残るものの厳しいシーズンとなった。V逸の原因を投打に分けて振り返る。

 

■主軸の大不振

22年シーズンの特性として「3月末~9月末の通年で143試合が行われる3年ぶりのシーズン」というものがあった。コロナ禍での直近2年間、ロッテはリリーフ投手の登板間隔を管理しながら、僅差を勝ってきた。だからこそ、今季はいかに「延長戦に入らずに勝利し、リリーフ陣の消耗を減らせるか」がカギの1つになっていた。

それだけに、得点力不足で試合終盤に優位に立ちづらい状況は痛かった。選手層は決して厚くなく、井口監督もシーズン中に「打てないのは去年からですけど、今年は守り勝ててない」とこぼしている。打力が他球団に劣るからこそ、ブランドン・レアード内野手(35)、レオネス・マーティン外野手(34)の両主軸にかかるものが大きかった。ところが開幕からともにバットが湿り、マーティンは複数回の2軍調整を経験し、すでに8月下旬に家庭の事情で離日している。

昨季は両助っ人で合計1044打席に立ち、56本塁打、170打点をたたき出していた。それが今季は24日時点で計659打席で24本塁打、73打点。昨季ともに0.8を超えたOPS(長打率+出塁率)は、今季は0.6前後。特に長打率は2人とも1割以上落としており、長打率リーグワーストの主要因となった。

マーティンは優勝がかかった昨季終盤、故障を押しての出場となっていたが、2人のコンディションについて井口監督は「全然大丈夫だと思います」と不調の最中でも話していた。変則の与座が先発した5月5日西武戦(シーズン30試合目)ではともにスタメン落ち。7月2日楽天戦(同74試合目)ではエチェバリアも含め、助っ人打者が初めてスタメンから姿を消し、9月以降はそれが当たり前のようになった。

■遅れた荻野の合流

故障がちのプロ生活を送ってきた荻野が、昨季初めて全試合に出場し大きく貢献した。その反動もあり、今季は1軍合流が5月下旬となった。荻野合流までの約50試合は3年目高部が台頭し安打や走塁を重ねたものの、出塁率の点ではまだ荻野には及ばず。打力低下は著しく、4月14日ソフトバンク戦から同20日西武戦まで5連敗し、うち4試合が完封負け。長い5位生活の始まりとなった。

井口監督は「自分たちの野球をしないと勝てない」と言葉を重ねた。安打や四死球で出塁し、盗塁や犠打で進め、適時打が出なければ内野ゴロや犠飛でも1点をもぎ取っていく。森脇ヘッドコーチとともに複雑なサインを出しながら、攻撃スタイルを徹底した。結果的に盗塁数と犠飛数は12球団トップを走るものの、苦労してつないだ1点2点が、被本塁打1本で一瞬にして無に帰す試合が何度もあった。今季チーム最多18安打が飛び出したのは、背水の135試合目。投打がかみ合って進む時期がなく、優勝には必須となる大型連勝の流れを作れなかった。【ロッテ担当=金子真仁】