阪神岡田彰布監督(64)は、どんな野球でチームを勝たせるのか。新監督をよく知るタイガースOBの日刊スポーツ評論家陣が、人柄や思い出も交えてエールを送る第3回は真弓明信氏(69)。85年の日本一メンバーだから見える来季の岡田野球を語った。【聞き手=田口真一郎】

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岡田監督が就任したことで、これまでとは違い、守り重視の野球になるだろう。ここ数年は、シーズン中でも守備位置が決まっていない状態が続いていた。岡田監督は、大山を一塁、佐藤輝を三塁と明言したように、秋のキャンプが始まる前に、「あなたはここで勝負しなさい」というメッセージを伝える考えだ。早めに構想を固めることで、そのポジションでしっかりとノックを受けることができる。中野と小幡を遊撃で競わせるように、レギュラー争いというのが明確になる。その方が課題である拙守を解消できるはずだ。

日本一になった85年は打ち勝った印象があるだろうが、実際は守備への意識が高かった。岡田監督にもそれが根底にあると思う。やらなくてもいい点を相手に与えれば、勝てない。阪神は特に若い投手が出てきて、投手力が充実しつつある。点をやらない野球をすれば、勝率はかなり上がる。

攻撃面で言えば、手堅い野球をやるのではないか。送るところはしっかり送る。岡田監督の現役時代は、走る選手がそんなにいなかったからね。1番を打っていたのはオレだからね(笑い)。85年は8盗塁だった。平田、木戸、ピッチャーがしっかりと送る。先行していけば、足を絡めたりして、点を取れるわけだから。1点を重ねて、爆発を待つ野球になると思う。そもそも最初から、打線の爆発を期待するというのは無理な話だ。打への期待という意味では、上位打線で足を使える選手が出てきたし、主軸には大山と佐藤輝がいる。6、7番あたりで長打を打てる外国人がいれば、打線はかなり良くなる。

今でも解説の仕事で岡田監督と会うことがあるが、相変わらず数字に強い。記憶力がいい。あの時はああだったとか、日付も覚えていてね。そういえば、佐藤輝のことを話したことがあった。打率も本塁打も求められる3番、そういうポジションに置いてもいいと。ランナーがいなければ、自分で走ってかえってくる。若いうちにそういう役割を任せる。岡田監督もそう考えていると思う。振り回して三振してもいいからホームランを打てばいい、と6番に置いても成長はないよ。

守備位置と同じで打線にも、ある程度、役目がある。昔の野球と言われるかもしれないが、2番が右打ちや送って主軸につなげる。自分の役割が分かっていると、キャンプでも重点的に練習できる。大山も4番で使うと言われると、状況に応じた打撃というものに集中して取り組むことができるだろう。守備や打順といった「ポジション」を固めれば、チームに安定が生まれてくる。

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