指揮官の分身だ。広島の藤井彰人新ヘッドコーチ(46)が25日、マツダスタジアム内で就任会見を開いた。阪神時代にともにプレーした同学年の新井新監督からの要請を快諾。現役16年とBCリーグ福井でのバッテリーコーチを含め7年の指導歴で培ったコミュニケーション能力を発揮し、参謀として新人監督を支えていく。

    ◇    ◇    ◇

早くもカープレッドに染まろうとする姿勢を見せた。マツダスタジアムの会見場に姿を見せた藤井新ヘッドコーチは、新井監督の就任会見と同じ赤いネクタイで登場。「監督のまねをしました」と愛娘とともに新調したものだった。現役時代はキャッチングや配球面に定評があり、目配り気配りのできる捕手だった。ヘッドコーチとしてもチーム全体を見渡し、新井野球を浸透させる役割をまっとうする。

「監督がこういう野球をやりたいというのを分かっとかなあかんでしょうし、監督が言いたくないようなことも僕が言ったらいいんやろなと」

新井監督とは、阪神にFAで移籍した11年から4年間ともにプレーした。同学年ということでグラウンド内外で多くの時間を過ごした。「タイガースに不安な気持ちで11年に行ったとき、すぐに声を掛けてくれてよくしてくれた。4年しか一緒にやっていないんですけど、すごい濃い、いろんな話をしましたし、ひと言で言ったら“好きです”」。ほれた男からのヘッドコーチ要請を断る理由はない。9年ぶりの共闘に、自然と胸が高ぶった。

藤井新ヘッドの人柄を知る人はみな「いい人」と口をそろえる。会見も終始穏やかな雰囲気で行われた。だが、今後は参謀として厳しい一面も織り交ぜていくつもりだ。「監督が言いたくないようなことも、僕が言ったらいいんやろなっていうのはあります。みんなでワイワイじゃダメだと思います。ダメなことはダメ、いいことはいい。あやふやにしない方が人って動きやすいんじゃないかなって。怒る人も注意する人もいなかったら早くいい方向にいかない。それは役割なのかな」。ときに楽しく、ときに厳しく。広島初仕事は11月上旬の秋季キャンプを予定する。持ち前の「コミュ力」を生かしながら、新井監督が目指す組織づくり、チームづくりに尽力していく。【前原淳】

◆藤井彰人(ふじい・あきひと)1976年(昭51)6月18日生まれ、大阪府出身。近大付、近大を経て98年ドラフト2位で近鉄入団。04年オフの近鉄・オリックス合併に伴い、分配ドラフトで楽天に移籍。10年オフに阪神へFA移籍した。お立ち台で「顔しか取りえがありません」と絶叫して爆笑を呼ぶ「男前キャラ」で愛された。15年限りで引退。17年から22年まで阪神でコーチを務めた。現役時代は170センチ、80キロ。右投げ右打ち。捕手。

【関連記事】広島ニュース一覧