元祖シリーズ男の復活弾ヤ!! 「SMBC日本シリーズ2022」第3戦は、ヤクルト山田哲人内野手(30)が、今シリーズ1号となる先制3ランを放ち、チームを勝利に導いた。2戦目まで9打数無安打と苦しんだが「1番二塁」で起用されて底力を発揮。15年には1試合3本塁打を放つなど、シリーズ通算5発はチーム歴代1位。頼れるキャプテンの1発で勢いに乗り、昨季から続く同カードは9戦目で初めて3点差以上の決着。シリーズ対戦成績を2勝1分けとした。

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キャプテンが、一振りで流れを引き寄せた。0-0の5回2死一、二塁、山田が宮城の2球目、内角147キロ直球を捉えた。高々と上がった打球は左翼席へ飛び込んだ。今シリーズ1号3ランは、自身シリーズ5本目の本塁打。かみしめるようにダイヤモンドを周回し、歓喜する村上らとハイタッチ。「いい角度がついてくれていたので。自分のスイングも出来ましたし、感触は良かった。素直にうれしいです」と喜んだ。

この日、ホテルの昼食会場で高津監督から「今日、1番でいこうと思う。どうだ」と問われた。「監督の指示に従います」と即答。8月14日DeNA戦でも1番に起用され、先頭打者弾。指揮官の期待に応え「打順は関係ないと思ってますし。特に1番は慣れているんで、違和感なく試合にも入れましたし、結果が出てよかった」とうなずいた。

3度のトリプルスリー達成を誇る強打者も、今季は苦しんだ。130試合に出場し、チーム2位の23本塁打は放ったが、新型コロナ感染の影響もあり、打率2割4分3厘はキャリアワースト。「個人成績だけで言えば本当に悔しいというか、情けない」と納得していなかった。それだけにリーグ優勝達成時は、人目もはばからずに号泣。「僕自身キャプテンとして結果を出して、みんなを引っ張っていくのが目標だったけど、逆にみんなの足を引っ張ってるというか。そこをムネ(村上)にはすごい助けてもらいましたし、他の選手にもたくさんカバーしてもらって。みんなに感謝したい」と話していた。

ポストシーズンに入っても調子は上がらなかったが、杉村コーチ、大松コーチらの助言を受けて調整してきた。「タイミング、メンタル面、考え方。1個1個、丁寧に言っていただいたので。すごく参考になりました。感謝しています」と言う。復活を果たしたキャプテンは「まだ2勝しただけなので。明日からしっかり気を引き締めて日本一目指して頑張りたい」。2年連続の頂点へ、油断なく歩みを進める。【鈴木正章】

▼山田がシリーズ通算5本目となる先制3ラン。シリーズの通算最多本塁打は王(巨人)の29本だが、ヤクルトで5本は大杉、池山の4本を抜いて最多となった。山田は1号から先制→勝ち越し→逆転→同点→先制と、すべて肩書付きの1発。肩書付きの殊勲本塁打数の上位を出すと、(1)王貞治17本(2)長嶋茂雄13本(3)柴田勲、秋山幸二、清原和博6本(6)石毛宏典、山田哲人5本。こちらも王の17本が最多で、5本以上は7人目。シリーズ1号から5号まですべて殊勲本塁打は山田が初めてだ。

▽ヤクルト高津監督(山田の1番起用に)「朝起きた瞬間に1番にしようと思った。昨日の夜から悩んで、哲人をどうしようかと。うまくきっかけを作らないといけないと思って、朝起きたときに『あ、これ1番だ』と思って」