日本野球機構(NPB)は7日、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性させる「現役ドラフト」の制度規定を公表した。全部で10項目からなり、開催時期や開催方法などを定めている。

各球団は2名以上の対象選手を選択。外国人選手、複数年契約選手、FA資格選手、育成選手などは対象外。

必ず、各球団で1人は出て、1人は入る仕組みとなっている。

各球団は事前に他球団の対象選手から獲得希望選手1名を選び、議長に通知する。

暫定指名順位の決定方法が特徴に挙げられる。自球団が選んだ対象選手2人以上に対し、他球団からの獲得希望をもっとも多く集めた球団が暫定指名順位1番目となる。より人気のある選手を対象に選んだ球団ほど有利となる仕組みだ。

規定は次の通り。

 

1、開催時期

契約保留選手名簿公示日の1週間後に開催する(2022年の場合は、12月9日)。

2、対象選手数

契約保留選手名簿に記載された選手の中から、各球団が任意に選択した2名以上とする。

3、対象から除外される選手

(1)野球協約第82条に規定する外国人選手

(2)複数年契約選手

(3)野球協約第87条に規定する参稼報酬の金額(消費税及び地方消費税別途。以下同じ)が5000万円以上の選手。ただし、1名に限り、参稼報酬の金額が5000万円以上1億円未満の選手を対象選手とすることができる。

(4)過去にFAの権利を行使したことのある選手

(5)FA資格選手

(6)育成選手

(7)前年の年度連盟選手権試合終了の日の翌日以降において、選手契約の譲渡により獲得した選手

(8)シーズン終了後、育成から支配下契約に切り替えられた選手

4、対象選手リストの提出等

(1)各球団は、毎年契約保留選手名簿公示日の15時までに、NPB事務局に対し、対象となる選手名、ポジション及び選手契約情報(選手の参稼報酬金額、インセンティブ契約の有無及びインセンティブ契約がある場合はその内容、メディカル情報等NPB事務局が指定する事項をいう)を記載した対象選手リストを、PDFファイルの形式で送付する。

(2)NPB事務局は、12球団分をまとめた対象選手リスト(当該選手の選手契約情報を含む)を12球団代表者に送付する。

5、会議当日、予備指名による暫定指名順位の決定

(1)各球団は、対象選手リストの他球団所属選手の中から、獲得希望選手名1名を議長に通知する。各球団が議長に通知した獲得希望選手名は、議長から他球団に対し示される。

(2)議長は、以下<1>及び<2>に基づいて、暫定指名順位の1番目ないし12番目を決定する。

<1>その所属する対象選手の獲得を希望する球団数(1球団に所属する複数の対象選手が他球団から獲得を希望された場合は、その延べ球団数)が多かった順番に従って決定する。

<2>選手の獲得を希望する球団数が同数の場合は、当該現役ドラフト会議が実施される年度の新人選手選択会議第2巡目の指名順位(球団順位の逆順。2022年はパ・リーグ連盟が優先する)に従って、当該球団間の先後を決定する。

6、本指名

(1)各球団は、本指名の第1巡目において、他球団所属選手の中から必ず1名を指名し、かつ、自球団所属選手の中から少なくとも1名を指名されなければならない。その手順は、以下<1>ないし<3>のとおりとする。また、各球団は、1巡目において、5、(1)に基づき議長に通知した選手の指名が可能な場合は、当該選手を指名しなければならない。

<1>基本的な指名順

暫定指名順位が1番目となった球団は、5、(1)に基づき議長に通知した選手を指名する。次に、選手を指名された球団が、5、(1)に基づき議長に通知した選手を指名する。ただし、当該選手又は当該選手が所属する球団の他の選手が、既に他球団から指名されている場合は、対象選手リストの中から、所属選手が指名されていない球団の選手1名を指名する。以下、同様に指名を継続し、全球団が、第1巡目において、必ず選手1名を指名する。

<2>既に指名を行った球団の選手を指名した場合

球団が既に指名を行った球団の選手を指名した場合は、まだ指名をしていない球団のうち、暫定指名順位が最も上位の球団が次の指名を行うこととし、以後、<1>及び<2>の規定に従って指名を行う。

<3>指名順位11番目の球団の指名

指名順位11番目の球団は、対象選手リストの中から、同12番目の球団の所属選手1名を指名しなければならない。

(2)本指名の第2巡目は、次の手順で行う。

<1>第1巡目終了後、第2巡目の指名意思を有する旨を議長に通知した球団(以下、「第2巡目参加球団」という)は、第2巡目の指名に参加することができる。

<2>第2巡目の指名順位は、第1巡目における指名の逆順(第2巡目の指名を棄権した球団を除く)とする。

<3>第2巡目参加球団は、第2巡目参加球団の対象選手リストのうち、次の選手を除き、選手1名を指名することができる。ただし、第2巡目の指名順が回ってきた時点で、第2巡目参加球団は、議長に通知することにより、いつでも第2巡目の指名を棄権することができる。

ア 第1巡目又は第2巡目において既に他球団から指名された選手

イ 第2巡目において、既に他球団が指名した球団の所属選手

ウ 第2巡目参加球団のうち第2巡目の指名を棄権した球団の所属選手

(3)本指名は第2巡目までとする。

7、移籍の成立

選手契約は、当該選手を指名した球団に譲渡されるものとし、その場合の手続等については、野球協約第105条ないし第113条の規定に従う。

8、譲渡金

選手契約を譲り受けた球団は、その選手が所属していた球団に対し譲渡金を支払う義務を負わない。

9、選手が転居を必要とする場合の移転費

譲渡し球団と譲受け球団は、野球協約第114条及び統一契約書第24条に従い、選手が転居を必要とする場合の移転費である200万円(消費税及び地方消費税別途)を等分に負担する。

10、秘密保持等

各球団は、対象選手リストの内容を秘密情報として厳格に管理し、対象選手全体リストの内容の全部又は一部を、第三者に一切開示せず、かつ、球団内においても、当該情報を真に知る必要のある役職員のみに、秘密保持義務を付したうえで当該情報を開示する。各球団は、対象選手全体リストの内容を、現役ドラフトの指名の目的以外に使用しない。ただし、現役ドラフトの結果、指名された選手の氏名については、この限りでない。