日本ハム宮西尚生投手(37)が球団史上最大減俸からの大復活を期した。11日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2億円減の年俸5000万円プラス出来高でサインした。球団では過去最大だった14年オフの武田久(1億6000万円減)を上回るダウン幅となった。今季は左肘痛で24試合の登板で終了。一時は引退の考えもよぎった鉄腕だが、周囲の後押しも受け、新球場で前人未到の400ホールド達成を目標に設定し、完全復活を目指す。

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宮西は素直に言った。「ショックはもちろんありましたけど、今年の除夜の鐘とともに、その気持ちはなくなるでしょう」。衝撃の2億円ダウン。減額制限(年俸1億円以上は40%)を大きく上回る減額は球団史上最大。それでも、その条件を受け入れた。「球団にも言いました。『年内までは、引きずります』って」と、笑い飛ばした。続けて「年明けとともに、スパッと切り替えてやりたい」。

今季の不調は、長年の献身的な大活躍の代償でもあった。「3年くらい前から投げる度に(左肘に)水がたまって。投げれば、注射で水を抜かないといけないのが数年、続いていた」。

限界に達した今夏は引き際を考えたこともあった。「契約をしてもらえるのか。辞めるべきなのか、どうするのか」。いろんな先輩に相談する中で、家族との電話が気持ちを吹っ切らせてくれた。「息子が『新球場で野球をしているところを見たい』ってポロって言ったのが、決め手かな」。

9月に自身3度目の左肘手術を受けた。リハビリは順調に経過し、闘志も戻ってきた。「やるからには『8回』を取り戻したい」。

勝利の方程式に返り咲くため、一から出直す。「僕は(新庄監督の)トライアウトに離脱したタイプ。簡単にチャンスはもらえない。今まで以上に結果を出して信頼を取り戻したい」。

目指すはプロ野球史上初の400ホールド。前人未到の節目へ、あと20に迫る。「今まで『20』って簡単に感じていたんですけどね」と覚悟して臨む、いばらの道だ。「あそこで400ホールドを達成したい。優勝ももちろんしたい。監督を胴上げできるように、少しでもチームに貢献したい」。新球場で復活し、全てを取り戻す。【木下大輔】

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