侍ジャパンに新たな風を吹かせる。栗山英樹監督(61)は11日、都内で3月のWBCに挑む代表メンバーの選考会議を開き、カージナルスのラース・ヌートバー外野手(25)を呼ぶことを明言した。母親が日本人の日系2世で、日系メジャーリーガーが侍ジャパンに加わるのは初めて。グローバル化が進む世界を表す代表チームとなる。

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最終メンバー30人のうち、栗山監督は既に12人を発表している。残り18人のうち、内定済みの選手も少なくない。決めかねている数枠に議論を重ねたが「今日、答えを出したかったけど出ない」。そんな中、決まった答えを自ら明かした。

「本人とオンラインで話し込んで、ヌートバー選手の参加をお願いしました。『喜んで受けます』と」

メジャーで伸び盛りの25歳を選んだ。昨季108試合、打率2割2分8厘、14本塁打、40打点、4盗塁。外野は全ポジションをこなす。「ツボに入れば、特に日本の球場であれば確実にスタンドインできる。スピードがあり、バランスのいい選手。これから一気にメジャーリーグを駆け上がっていく若い力が勢いを付けてくれる」と期待した。合流時期は調整中だが「メジャーリーガーの参加時期は、同じ感じにしたい」。ダルビッシュ、大谷、鈴木と同様、宮崎での強化合宿からの参加へ準備を進める。

招集理由は、勝つための戦力が第一。ただ、日系選手を呼ぶ意味も強調した。

「世界がグローバル化していく。みんな手を取り合って仲良くできるために、いろいろなところで野球をやっている人たちが(代表に)集まることに、すごく意味がある。今の時代に、まだ戦争が起こる。もともと人はみんな1つだったはず。ヌートバー選手のように日本に来れば、野球の幅が広がる。スポーツは国境を越える。子どもの時に一緒に遊んでいた人と、戦争する気なんか絶対に起こらないと、僕は思っている」

両親の国籍や出生証明があれば他国の代表にもなれる。大会の特性を生かし、訴えたかった。口説き文句を問われ「I love you。冗談ですけど」と笑ったが、“愛”は本物。大きな心で、侍ジャパンをくるんだ。【古川真弥】

○…ヌートバーとのコミュニケーション方法について、栗山監督は「僕が英語をしゃべる努力をしていきます。(本人は)英語がベース」と話した。母クミさんからは「それ(代表合流)までに、しっかり日本語を伝えておきます」と言われたという。また、ヌートバーの人柄を問われると「直接話したら100%、全員が好きになる。愛すべき人柄」と、ナイスガイであることを強調した。

▽侍ジャパンの予想スタメン

1番左翼 吉田正尚

2番DH 大谷翔平

3番右翼 鈴木誠也

4番三塁 村上宗隆

5番二塁 山田哲人

6番中堅 ラース・ヌートバー

7番一塁 牧秀悟

8番捕手 中村悠平

9番遊撃 源田壮亮