日本ハム上沢直之投手(29)が、オリックス2回戦(京セラドーム大阪)で、今季チーム一番乗りの先発勝利を挙げた。11連勝中だった“お得意様”を相手に、制球に苦しみながらも5回7安打2失点。18年から続いていた同カードの連勝を、12に伸ばした。大幅に組み替えた打線が上沢を援護して、チームの連敗は5でストップ。開幕8試合目で、ようやく今季2勝目をマークした。

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上沢の粘投が、チームの暗雲を払った。真っすぐが走らない。制球も不安定。5回7安打4四死球と思うような投球が出来ない中、2失点とギリギリのところで踏ん張った。「野手が点を取ってくれたおかげで勝てたような試合。僕は特に何もしていない。僕自身の内容としては満足できるものではない」としながらも「何とか勝てたのは良かった」。抜群の対戦成績を誇る“お得意様”相手に、オリックス戦12連勝で、チームの連敗を止めた。

1度は不運な形で追いつかれ、勝ち越された。1点リードの2回無死満塁で、ワンバウンドになったフォークが捕手・伏見の首元から防具の内側に入り込み、ボールデッドに(記録は暴投)。各走者に1つずつ進塁が与えられ同点とされると、直後に適時内野安打で勝ち越された。上沢自身も「人生で初めての経験」。珍現象にも「少ない点数で抑えようとしか思っていなかった」と要所を締め、打線の援護を待った。

生命線の真っすぐが決まらない中、好調だったオリックス森を1安打に抑えたのが大きかった。1回の第1打席こそ長打を許したが、2回2死満塁、4回2死二、三塁では変化球を巧みに操り凡打に仕留めた。「カットボールを見せて、最後は曲がりの違うスライダーで。寅威さん(伏見)が、いいボールを選んでくれて、悪い状態の中でも何とか試合をつくれるようにリードしてくれた」と最敬礼。不調を埋めるため、4回以降はクイックモーションに変更するなど、あらゆる工夫を凝らして手にした今季初勝利だった。

開幕から8試合目で、チーム一番乗りの先発勝利。エース格の“勝ち運”が、昨季覇者に勝った。【中島宙恵】

■ジグザグ打線的中「やった」

大幅に打線を組み替え連敗脱出に成功した新庄監督は、開口一番「やった」と、かわいらしく喜んだ。前日7日まで5連敗。「気分転換」を兼ねてジグザグ打線を組んだところ、今季初の3安打猛打賞の万波を筆頭に、打線がつながった。終わってみれば、今季2度目の2桁安打で快勝。「この1勝はスタートということで」。9日からは連勝を目指す。