“辰己劇場”が帰ってきた! 楽天辰己涼介外野手(26)が、延長11回にサヨナラ打を放ち、最下位転落を阻止した。開幕から不調が続き、この3連戦はすべてベンチスタート。この日も延長10回から中堅の守備で途中出場した。悔しさを力に変えて、チームを救う一打。お立ち台では「僕が出ていた方が華があると思う。圧倒的な成績を残すのでシーズン終わった時に楽しみにしておいてください」と真顔で宣言した。

延長11回1死一、二塁。しびれる場面で第1打席を迎えたが、“らしさ”は変わらなかった。「こういう展開になるのは分かっていた。『多分サヨナラ打つなー』って。打席でずっとヒーローインタビューでなんて言うか考えてました」。カウント1ボールから、玉井の甘く入った132キロチェンジアップを右中間へ。適時二塁打で試合を決めた。

今季は打率1割6分と不調。チームも7勝11敗で5位に沈んでいる。今のチーム状況を昨年11月に誕生した息子の口に例える。「歯が生え始めてムズムズしている。チーム状況もそう。しっかり生えきったときに鋭い刄になれば。僕は犬歯でしょうね」と前を向く。

焦りはない。ベンチスタートの3日間で、冷静にチーム状況を俯瞰(ふかん)した。「前半戦粘れば、後半戦巻き返していけるんじゃないかって。(シーズンは)マラソンみたいなもの。今までは給水もせずに開幕から思いっきりダッシュして、しっかりとなるように失速してましたけど、そういうような印象は受けない」とキッパリ。自身もチームも、少しずつ上向いてきた。切り込み隊長として、再び1番に座り、巻き返しを図るチームを引っ張る。【湯本勝大】

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