4月に支配下選手登録されたばかりの西武古市尊捕手(20)にとって、とても濃い1日になった。

プロ初スタメンで、いきなり延長12回までフルイニング出場した。先発松本以下、初めてボールを受けた投手もたくさん。4回の守備を終えると、2番手ティノコの待つブルペンを走り、サイン確認などをするシーンも見られた。

「僕の配球ミスもあった中で、先輩(投手)たちに引っ張られて、先輩たちの球の強さに助けられて抑えられたと思う部分もたくさんありました」

延長12回は、ボー・タカハシ投手(26)がマウンドへ向かった。平石ヘッドコーチからは「勇気を与えてやってくれ」と頼まれ「どんどん攻めていこう」と激励した。助っ人右腕は見事に無失点で切り抜け、この日の負けを消した。

柘植に右肘の軽い炎症があり、巡ってきたスタメンマスクのチャンス。午後6時開始の試合ながら、午前中から室内練習で長谷川とともに打ち込み、集中力を高めていた。

プロ初打席は遊ゴロだったが、際どいタイミングで一塁へ頭から滑り、拍手が起きた。5回の第2打席でプロ初安打を放ち「めちゃくちゃうれしかったです」と喜ぶと、延長12回には粘ってフルカウントから四球を選んだ。

「正直、代打は覚悟していたんですけど、平石ヘッドから『今日はお前の日や。最後行ってこい』と言われて。きれいな形とかじゃなくて、とりあえず塁に出ることしか考えていなかったので」

ロッテに3連敗を喫し、借金は3に膨らんでいた。重くなりかける空気に新風をもたらした。

松井稼頭央監督(47)も「初スタメンにしては非常に評価できる活躍だったと思います。気持ちがいいというかね、スタメンで出て、あれだけ思い切りできるのは素晴らしいと思う」と開幕には背番号125だった若者の奮闘をたたえていた。【金子真仁】

【関連記事】西武ニュース一覧