巨人三上朋也投手(34)が、因縁のマウンドで苦い記憶を拭い去った。

1点リードで迎えた「魔の8回」。先頭オスナに中前打を打たれても、動じない。犠打を阻止し、浜田を二飛。さらに中前打を打たれ一、二塁のピンチを背負っても、塩見を最後はスライダーで3球三振に抑え、ほえた。無失点で切り抜けて勝利に貢献し、新8回の男に名乗り出た三上は1年前、このマウンドで危機に襲われていた。

静岡・草薙球場。「去年のオープン戦できたんですよ。でも打球が右足に当たって…。10日間も入院しました。まさかそんなことになるなんて」。DeNAに所属した昨季開幕前の3月11日楽天戦、5回2死から先発東に代わって登板した。小深田の打球が右足脛部(けいぶ)に直撃。すぐさま拾い上げ投ゴロに打ち取り、攻守交代してベンチに下がった。

2日後、右足に激痛が走る。地面につけることもできず同行予定だったオープン戦を回避。横浜市内の病院で精密検査を受けると、患部からの細菌感染の診断を受けた。即日始まった入院生活は10日間にも及び「処置が遅かったら、全身に回るところでした。足を切断していたかもしれないといわれました」。その年は19試合に登板し、オフには自由契約を言い渡された。

激動のシーズンを終え、育成選手として巨人入り。新天地では5月4日に支配下登録され、翌5日にデビューを果たした。背番号69のユニホームも、とりあえず2枚だけ手元に届いた。「投げさせてもらえるだけでもありがたい。なかったはずの1年ですから」。巨人のリリーバーとして、自らの腕で払拭(ふっしょく)した。【栗田成芳】

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