ソフトバンクのベンチに突然、不穏な空気が流れた。3回表終了時だ。1死一、二塁のピンチをしのいだ先発藤井皓哉投手の顔色がさえない。この回、巨人坂本に投げた際、左脇腹に痛みを覚えていた。藤本博史監督(59)は「投げられる状態じゃなかった」と言い、5勝のチーム勝ち頭を3回無失点で下げるを得なかった。

緊急登板した2番手尾形は4回こそ3者凡退に抑えるも、2点を先制した直後の5回先頭の丸に1発を浴びた。なお1死一、二塁のピンチを迎え、田浦-武田とスイッチしたが、さらに2点を失ってあっさり逆転された。打線の反発もなく、巨人に交流戦で5年ぶりの負け越し。交流戦は首位タイから4位タイとなり、リーグ戦では首位ロッテと2ゲーム差をつけられた。

試合後、追い打ちをかけるような知らせが届いた。福岡市内の病院でMRI検査を受けた藤井は、左内腹斜筋の肉離れで競技復帰まで4~5週間と診断された。シーズン前半戦での復帰は絶望的となった。

体調不良で離脱した大関に続き、開幕からローテーションを守ってきた藤井まで。斎藤学投手コーチは「若干というか、だいぶ苦しい台所事情ですね」と頭を抱えた。直近4試合で先発が5回以上を投げたのは1試合のみ。中継ぎ陣の負担は増し、ここまで救援登板した投手は延べ203人とリーグ最多となっている。

斎藤学投手コーチは「現状で調子が良いのはジュニア」と代役候補にスチュワートの名前を挙げ、「リリーフの選択もあります」とブルペンデーのプランも描いている。「いろいろ選択肢を考えながら、なんとかやりくりして、みんなが帰ってくるまで乗り切りたい」。総出で危機的状況を打破するしかない。【佐藤究】

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