6月の第3日曜日は「父の日」。ときに厳しく、そして優しく育ててくれた父との思い出、感謝をプロ野球選手たちが語った。

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巨人高梨雄平投手(30)にとって、公務員の父直人さん(54)は最初の野球の師匠だった。

小学生時代、大学まで野球を続けた父と毎日、埼玉・川越市の実家の1階ガレージで汗を流した。母お手製の厚手のカーテンにひたすらティー打撃。フォームが悪かったら「素振りからやり直し」と突き放された。1人素振りで形を整え、父のいる2階に恐る恐る階段を上る。「練習、お願いします」。この時ばかりは敬語だった。

高梨は「練習を継続させてもらえなかった。何かふざけたり、羽目を外そうと思うときでも父の存在がストッパーになってました」と回想する。スパルタ打撃練習は自らを助けた。リリーフ起用が多いプロ入り後は通算2打数無安打だが、早大時代には東京大学リーグで通算打率3割9分2厘を記録。「打撃は昔からずっと変わってない。苦労しなかったのは父との特訓のおかげ」と感謝する。

30歳になり、当時の父と同じくらいの年齢になった。「僕らの野球道具にお金を使ってくれるので、自分の服とかほぼ買い替えてなかった。働きながら土日もほぼ休みなし。今考えたらすごいなと尊敬します」。毎日同じ服を着る父のかっこよさが、今なら身に染みて分かる。【小早川宗一郎】