西武のドラフト1位、蛭間拓哉外野手(22)がプロ6打席目にうれしい初安打を放った。

蛭間は深く考える青年だ。自分のことも、誰かのことも。浦和学院(埼玉)でプレーした。規律も含め、厳しい高校だった。なぜ頑張れたか。「浦学に来てる理由っていうのが、絶対に甲子園に行きたいから親元を離れて、3年間あんなめちゃくちゃきついところに行ってて。甲子園のためにきついことを乗り越えてやっていたので」。

だから、動かずにはいられなかった。早大進学後、コロナ禍で2学年下の後輩たちの夏の大会がなくなった。

「相手の身になって考えると、とてもつらい。監督さんやコーチも、大会がなくなるなんて経験していない。大人の方々が生徒たちにどういう声をかけていいのか分からない状況だと思ったので。何が力になれるかを考えて」

同期生32人のライングループに提案し、実行した。大枠のメッセージを決め、出席番号順にひと言ずつ割り振り、各自で撮った動画を集める。「編集が得意なやつがいたので」頼んで、メッセージ動画が完成。後輩たちに送った。

「卒業生が感じていることを伝えることで、現役の選手たちに響くのかなと。腐らず最後までやってほしいなと」

もちろん、現在西武のチームメートになった渡辺勇太朗投手(22)も参加した。「甲子園に出て優勝するためにやっていたので、すごくかわいそうで、自分でも力になれればなと思って。拓哉を中心にみんなで話して」。メッセージの最後は頼れる主将だった蛭間が締めた。

「頑張ろう!!」

熱い思いが後輩たちの心を震わせた。森士前監督(59)は「涙、止まらなかったね」と今も当時を懐かしむ。【西武担当 金子真仁】

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