加速した190センチ、104キロの巨体はもう止まらない。ぐるぐる腕を回す梵三塁コーチを見るまでもなく、オリックス杉本裕太郎外野手(32)は大股でホームに突進した。小学生以来だというランニング本塁打。息を荒くしてナインとハイタッチ。仲間の安打で生還した感覚でいたが、ふと気付いた。「あ、やらな」。テンションMAXのまま、あわてて右翼席に向けて右腕を突き上げた。

「まさかランニングホームランで『昇天ポーズ』をする日が来るとは思わなかった。いつも監督やコーチに全力疾走するよう言われている。抜かずに走ってよかったです。ストライドが広くなりすぎて、やばい走り方をしていました」

7回無死一、三塁。小島の変化球を拾って高々と左翼フェンス際へ。山口は捕球できず、フェンスではね返った打球はカバーに走った中堅藤原もすり抜けて、誰もいない中堅手前に転々とした。「本塁打は本塁打。3点入ってうれしいです」。2-0と追加点がほしい状況で貴重な“1発”になった。

21年に本塁打王に輝いた大砲だが、50メートル走は6秒台前半を誇り、走塁意識も高い。初の球宴ファン投票選出が発表された日に、すべて得点に絡む3安打。「投票してくれた人のために頑張ろうと思った」と感謝の全力プレーを見せた。

杉本の激走をはさんで、この回は実に7者連続安打で6得点。10-0と投打が完璧にかみ合った。「今日は俺が言うこと、あんまりないよ。選手に聞いてやってよ」と中嶋監督。お祭り騒ぎのベストゲームで12球団最速の40勝目を飾った。【柏原誠】

【動画】ラオウ杉本裕太郎びっくり まさかのランニング本塁打で昇天ポーズ

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