代役1番が虎の窮地を救った! 阪神島田海吏外野手(27)が6年目のプロ1号を先頭打者弾で飾り、堅首に大貢献した。右肋骨(ろっこつ)骨折で離脱した近本に代わり、今季初の1番中堅で出場。初回に森下から右翼に運び、試合開始数分で決勝弾を生み出した。熊本同郷の同学年で高校時代はライバルだった大竹のプロ初完封&7勝目をアシスト。チーム2年ぶりの球宴前勝ち越しターンも決め、2位DeNAとのゲーム差を2・5に拡大だ。

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島田が祈った。「切れないでくれ!」。願いは通じた。初回第1打席。打球は右翼ポールを直撃した。一塁ベースを回り、右手を突き上げた。「走るスピードとかも分からなくて。打ったことがなかったので」。照れ笑いをこらえダイヤモンドを1周。ベンチでは、ナインから一度スルーされる「サイレント・トリートメント」で祝福された。

絶対的リードオフマン近本が前日4日に「右肋骨(ろっこつ)骨折」で戦線離脱。昨年8月17日のヤクルト戦(神宮)以来、岡田監督就任後では初の「1番中堅」で起用された。「めちゃめちゃ緊張した。だったら試合前に全部緊張しちゃうつもりで」。練習から心を追い込み、広島先発の森下と対峙(たいじ)した。

初回、3球目の144キロを捉えた。プロ6年目、通算545打席目で飛び出した1発に、岡田監督も「初ホームランて知らんかった」と驚いた。プロ初アーチが先頭打者本塁打は球団3人目だが、V弾は長い猛虎史でも初の快挙。新1番が激レア弾で苦境を救った。

ずっと胸に秘めてきたことがある。

「近本さんは目標でもあるけど、追い抜かないとセンターで出られない。自分もそういう存在になっていかないといけないって、ずっと思ってるから」

チームには痛手だが、島田にはこれ以上ないチャンスが訪れた。3回は四球出塁で好機を広げ、2点目の生還。「近本さんの代わりになるか分からないけど、僕は僕のやることをやりたい」と誓いを新たにした。

普段から食事に行き、プライベートでも仲のいい大竹のプロ初完封をアシストした。同じ熊本出身の同学年が投打の主役になった。「ちょっと特別な気持ちはある」と実感を込めた。九州学院2年夏、熊本大会で済々黌の大竹と対戦。自身は1安打を放ったが0-1で敗れた。かつてのライバルを援護し「あいつを投げやすくできたんじゃないかな」とうなずいた。

岡田監督は「内容も悪くないし、打順いじるのも嫌やからな」と1番継続を示唆。島田は「いつも支えてくれてる妻に送りたい」とホームラン球に感謝を込める。ヤクルトに敗れた2位DeNAとのゲーム差は2・5に拡大。ニューヒーローが、虎の先頭を走る。【中野椋】

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