西武は21日、育成選手の豆田泰志投手(20)と支配下選手契約を締結した。これまで124だった背番号は「70」に変更される。

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6月に入って、豆田の進化が話題になっていた。当然、首脳陣ら球団関係者も映像で見ている。

「マメちゃん、頑張ってるね」「いいらしいな~、マメちゃん」

そんな声も聞かれた。育成選手なのに首脳陣らから早くも「マメちゃん」。黒髪で小柄、派手さはないのに存在感は大きかった。

「まさかこんないい投手が、育成(ドラフト)まで残っているとは」

入団当時をそう振り返る西武関係者もいる。育成ドラフト指名ながら豆田本人の気概は強かった。

「どうしても支配下で、とかはなかったです。確かに大学に行ったら上位指名って可能性もあるかもしれないですけど、ケガしたらプロにすら行けないで終わるかも思っていたので。それなら育成でもチャンスがあるならプロに行って、実力でどうにかつかみとろうという気持ちでした」

浦和実(埼玉)時代から「藤川球児のよう」と呼ばれたホップ率の高い直球を磨き、2軍ではプロの打者を圧倒できるまでになった。「まだ(藤川さんに近づく)実感は全然湧かないですね。映像で見てもまだ全然違うなって」。そう笑う表情は、豪快な直球とは相反して、まだまだあどけない。

「今の状態をキープしつつ、支配下になれたら1軍戦力として少しでも貢献できるように」

支配下登録へそう意気込んでいたのが6月末で、その数日後、たまたま2軍の休日に西武鉄道内で、同じ車両で出くわした。

目が合った。座っていたのにわざわざ立ち上がり、会釈をくれた。そんな好青年だ。【西武担当 金子真仁】