<ロッテ0-4オリックス>◇9日◇ZOZOマリン

オリックス山本由伸投手(25)が、昨年6月18日西武戦以来、自身2度目のノーヒットノーランを達成した。プロ野球史上88人、通算100度目。2年連続の達成は戦後では初めての偉業となった。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM(56)が異例の視察に訪れるなど、大リーグの12球団20人以上のスカウトらが集結。オフにポスティングシステムを利用して米球界挑戦の可能性がある右腕が、歴史的な投球で評価を高めた。

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マウンドに立った時の感覚の鋭さは、天性のもの。16年ドラフト4位で入団し、初めて登板した練習試合。山本は打者ごとに、ほんの少しずつ投げ方を変えていた。首脳陣が真意をたずねると「はい。バッターの反応を見て変えています。3通りぐらいです」と即答した。

振り遅れていれば速めのフォームにし、タイミングが合ったと見れば若干着地を遅らせる。教えずとも器用に操る姿は、抜群の球質とともに周囲の度肝を抜いた。足を上げ下げする時の速度、球持ちの長さなど、わずかな変化を組み合わせ、1軍で活躍する頃には10通りほどにもなっていた。

打者を手玉に取る力は、反応を察知する観察眼のたまものでもある。バックネット裏で少しだけウトウトしていたコーチの姿すら見逃さない。すぐに「寝てたでしょ~?」と無邪気な笑顔で目の前に表れる。愛され力も天性のものだ。【オリックス担当=磯綾乃】