あかん、もうドキドキしてきた!

阪神が2位広島を相手に今季10度目の同一カード3連戦3連勝を飾り、9月無敗の8連勝で優勝マジックを「5」に減らした。1-1で迎えた8回裏2死満塁、代打の糸原健斗内野手(30)が中前に決勝2点打を運んだ。この2日間で優勝マジックを「10」から一気に半減させ、貯金は05年以来で岡田政権最多タイの33。今季の広島戦勝ち越し、セ・リーグ全球団勝ち越しも決めた。18年ぶりVの最短日は14日巨人戦。さあ、いよいよ「アレ」ウイークや!

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歓喜の結末を予感していたのか、甲子園のボルテージはすでに最高潮に達していた。1-1で迎えた8回裏2死満塁。それでも代打糸原には目の前の1球に集中できるだけの冷静さがあった。「もう、無心でした」。2ボール1ストライク。広島九里の126キロチェンジアップを振り抜き、ライナーで中前に運んだ。値千金の決勝2点打。大歓声を浴びながら、一塁上で力強くハイタッチを決めた。

「(伊藤)マサシが頑張っていたので、この回で決めるという思いで打ちました。こういう日のために、毎日ずっと準備している。今日は本当、最高です」

7回1死満塁でも直前まで代打の準備をしていた。伊藤将の続投が決まり、一度はベンチに下がっていた。“2度目の出番”にも集中力を切らさず、今季3度目となるV打を記録。岡田監督は頼れる30歳の勝負眼を「本当にあまり出る機会が少ないですけど、やっぱりいいときには打つ」と褒めちぎった。

仲間思いの男だ。7月28日のウエスタン・リーグ広島戦(倉敷)でミエセスが走塁中に左足を負傷して交代。1軍ではアップ中から常に隣にいるドミニカンのアクシデントに、相棒は表情を曇らせていた。「映像で見て、心配すぎて試合どころじゃなかった。1軍にいないのは寂しい…」。

幸いにも軽傷で、助っ人は8月上旬に1軍再昇格。久しぶりの再会はハグで分かち合った。この日も勝ち越し打の直後、ベンチでミエセスらから手荒い祝福を受けた。ムードメーカーの快音で優勝マジックを5に減らせば、チームの盛り上がりはもう最高潮だ。

チームは9月無敗で今季3度目の8連勝。同一カード3連戦3連勝は今季10度目で、貯金は05年以来で岡田政権最多タイの33まで膨らんだ。この2日間で優勝マジックを「10」から一気に半減させ、岡田監督も余裕の笑顔だ。

「片手になったな(笑い)。次甲子園で、相手も巨人だし、楽しみにね。ファンの皆さんに応援してもらいたい。暑いな…みんなの熱気が」

悲願の18年ぶりVは最短で14日巨人戦にも決まる。ワンチームで最後まで駆け抜ける。【三宅ひとみ】

▼阪神が今季3度目の8連勝。8連勝以上をシーズン3度以上記録したのは19年広島以来で、阪神では11連勝と8連勝2度の47年以来2度目になる。

【動画】一塁ベース上で激しくガッツポーズ 阪神糸原健斗が代打で勝ち越し打 岡田監督は笑顔