日本ハム上原健太投手(29)が7回104球を投げ6安打2失点、8三振無四球と好投し、自己最多に並ぶ4勝目を挙げた。明大の1学年先輩で、2ケタ勝利のかかったオリックス山崎福也(31)と初めて投げ合い、内容、結果ともに上回り、白星をつかんだ。捕手の構えたところにこだわらず、とにかくストライクに投げ込む“アバウト投法”で、チームの連敗を止めた。

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上原が、またも負の流れを止めた。39年ぶり13連敗を喫した直後の7月26日楽天戦でも、先発し6回4安打無失点と試合をつくり、連敗を止めていた。「勝てなくなると、どうしても空気が暗く、重くなる。ちょっと僕だけ別次元にいるような気持ちで昨日、練習させてもらった。いい意味、流れに乗らなかった」。暗いムードを完全シャットアウトし、快投につなげた。

大学時代、切磋琢磨(せっさたくま)した山崎福と初の投げ合い。3回8安打3失点で降板した先輩に対し、自身はしっかり終盤7回まで投げ、勝利を呼び込んだ。大学時代は同じ左腕同士、球速を争ったが、結果は互いに151キロのドロー。登板前日は「福也さんに10勝目を与えたくない」と意気込んで臨み、勝った。「楽しかった。でも本当は、途中で代わってほしくなかった。降板早いっす」と、ちょっぴり寂しそうに振り返った。

これで自己最多タイ4勝目。15年ドラフト1位左腕は「4つ目で最多タイって…全然貢献してないですよね」。殻を破るために、今季は新庄監督から言われた「フォアボール3つ出したらファーム行き」という冗談交じりのプレッシャーを、思考変革のカギにした。「今までコントロールも良くないのに、キャッチャーの構えたところに投げなきゃということに縛られていた。追い込むまではストライクならどこでもいい。ぽんぽん投げたらファウル取れるし、意外と何とかなると気付いた」。細かいことは気にしないアバウト投法で、結果が出始めた。

7月の13連敗を止めた後、チームは3連勝。「順位は僕たちの望むものではないですけど、最後まで1回でも多くファンの皆さんと喜べるように、しっかり戦い抜きたい」。逆境を切り抜けたエネルギーを、残り15試合に注ぎ込む。【永野高輔】

▽日本ハム建山投手コーチ(先発した上原に)「ブルペンの状態を引きずらないで、ゲームメーク出来る能力が今年は高くなった」