ソフトバンクが劇的勝利を決めた。1-2の最終回。先頭の3番柳田悠岐外野手(34)が弾丸ライナーで右翼テラス席に21号ソロを突き刺した。土壇場で試合を振り出しに戻し、さらに1死から5番中村晃外野手(33)がレギュラーシーズンでは初のサヨナラ弾。元同僚で日本ハム守護神の田中正を千両役者のそろい踏みで粉砕。中村晃は「勝てて良かったというのが一番。とりあえずホッとしている」と一息ついた。

中村晃は体調不良で9月16日に出場選手登録を抹消されていた。同23日に戦列復帰後は19打席無安打。「1本も打てていなかった。何とかしたいという思いだった」。執念の思いをバットに込めた。カウント3-1からの5球目。ボール球の内角低め148キロ直球を仕留めた。鷹党の大歓声とともに打球は右翼ポール際へ一直線だ。悠然とダイヤモンドを周回。ホームベース上にできた歓喜の輪へ飛び込んだ。

お膳立てをしたのは柳田だった。内角高めの直球を振り抜き、打球速度180キロの仰天アーチで空気を一変させた。「自分がクソみたいなバッティングをしていた。ストレス発散です。むかつく思いはしたくなかった」。直近5試合は打率2割3分5厘と低空飛行。シーズン打率も3割を下回ったが、ここぞの場面で本領を発揮した。

3位楽天との1ゲーム差、4位ロッテとの1・5差は変わらなかった。この日は両チームが勝利しており、「1人負け」を回避できた事実は大きい。2位死守でCS本拠地開催へ、残り5試合。中村晃は「ホームで福岡のファンの皆さんが待っている。残り全部勝って終われるようにみんなが目指している」とホークスナインの強い決意を代弁した。【佐藤究】

○…先発板東がチームの劇的サヨナラ勝ちに胸をなで下ろした。田宮に2本の適時打を許し、2点を先制された。6回90球を投げ、1点ビハインドの状況で降板。「どうしても勝ちたかったけど、ビハインドでマウンドを下りてしまって。(サヨナラ勝利に)ホッとした気持ちです」。4回の失点は2死からの四球絡み。「まだまだ力不足です。自分の結果としてはすごく悔しい」と反省も忘れなかった。

▽ソフトバンク藤本監督(劇的サヨナラ勝ちに)「柳田と中村(晃)に助けられました。流れに乗っていかないといけないですね。残り全試合、勝つつもりで頑張ります」

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