広島一岡竜司投手(32)が1日、マツダスタジアムで引退会見を開いた。巨人から移籍し、10年間着続けた背番号30のユニホーム姿で姿を見せた。涙はなく、終始晴れやかな表情だった。

「ジャイアンツで2年間、カープで10年間、本当にお世話になりました。すっかり広島の街が好きになって、リーグ優勝も3連覇も経験できて、最後にこのような舞台をつくってもらって、僕は幸せ者だと思います。12年間、ありがとうございました」

一岡は11年ドラフト3位で巨人に入団。13年オフに人的補償で広島に移籍すると、移籍1年目から31試合に登板して、防御率0・58の好成績を残した。18年までの3連覇にも大きく貢献した。だが21年は1軍登板なく、22年も10試合の登板に終わり、今季はここまで1軍登板がない。

「ここ2、3年はチームの戦力になっていませんでしたし、そういう自覚もありました。やっぱり、自分のストレートを投げられなくなったことが大きな理由。モデルチェンジじゃないですけど、スタイルを変えてはいたんですけど、1軍で通用するレベルにはならなかった。自分で納得して、引退ということを(決めた)」

球団に引退を申し入れて、了承された。真っすぐを武器に専門学校から初めてプロ入りした一岡は、最後まで真っすぐにプロの世界を生きた。そしてチームの順位が決まっていないシーズン最終戦、新井監督から最後のマウンドを用意された。

「こんな幸せなことはない。チームの順位がまだ確定していない段階なので、僕も最後の最後まで野球選手として真剣勝負したいなと思います」

支えてくれた人たちのため、チームのため、一岡が通算290試合目のマウンドに上がる。