西武がドラフト会議の48時間前に1位指名選手を公表した。24日、都内でのスカウト会議を終えた渡辺久信GM(58)が「数多くいる有力候補の中で、最も実力があると評価しました」と選んだのは、国学院大の最速153キロ左腕、武内夏暉投手(4年)だった。

八幡南(福岡)時代は無名の存在ながら国学院大で成長した。3年秋からエースの伸び盛り左腕は、26日のドラフト当日でも1位競合が必至とみられる。西武は21年には西日本工大・隅田を12球団最速で1位公表。4球団競合で交渉権を獲得した。今回も青学大・常広の1位公言の広島に続く公表。武内側に誠意を見せるとともに、他球団をけん制する戦略といえる。

シーズンの始め、西武は将来の中軸候補として花巻東・佐々木麟の上位指名も選択肢に入れていた。ただ、エース高橋が近い将来のメジャーリーグ挑戦を熱望している事情がある。救援陣もやや高齢化し、疲労蓄積もある。数年後の編成を想定すれば、投手陣の整備も課題になっていた。

中大・西舘らも高く評価しているものの、先発ローテで左腕は隅田のみ。さらにチームの今季の与四球数511四球は12球団ワースト。渡辺GMは「強い直球と変化球が多彩で、どの球でも決め球に使える制球力の高さが魅力です」と評価しており、武内は補強ポイントに最大値で合致する存在だった。会議の流れにもよるが、ドラフト全体でも投手を軸とした指名になる見込みだ。【金子真仁】