優しく、強く昇竜を目指す。中日からドラフト2位指名を受けた三菱重工East・津田啓史内野手(20)が1日、都内の同社で指名あいさつを受けた。

熊本出身で、20年に横浜を卒業後、同社に入社した。広角に長打を放つ打力に加え、50メートル6秒0の俊足、遠投120メートルの強肩がウリ。ファンに向け「勝負強い打撃が自分の強みなので、そういったところを試合の中でお見せしていければと思っています」と自己PRした。中日小山良男スカウト(43)は「3位くらいでとれたらなという思いもありましたけど、いろんな報道を見て3位じゃ待てないなということで。立浪監督にも強く推させて頂きました。立浪監督もそれに応えてくれて『おまえがずっと見てきて良い選手なんやろ』って言われて。『それはもう間違いないです』ということで」と指名に至った経緯を話した。

優しい男だ。報道陣に配布された津田のプロフィルの「性格」という欄には「思いやりがある」と記載が。自身でも「優しいと思います」と照れくさそうに話す。続けて「人と接するときに、言動とかをする前に一歩立ち止まって、『これ本当に言って大丈夫なのかな』とか、そういうのを考えている。両親が厳しさの中に優しさがあったので、そういうところから来てるんじゃないのか」と優しさの原点を語った。社会人生活でも「社会に出ると、会社とかでも必ず相手がいるので、よりそういうところは磨かれた」と胸を張る。

横浜時代は主将を務めた3年夏に新型コロナの流行で甲子園が中止に。「現実を受け止められない状況だった」と1年夏、2年春以来の聖地へ挑む権利を失い悲しみにくれた。寮は閉鎖となり、チームメートとも会えなくなった。主将として「目標がなくなったので、簡単に言葉をかけて良い状況ではなかった」と悩んだ津田主将は仲間とZoomを開いた。言葉を選びながら「今どうなるかわからないけど、やるべき事はしっかりやろう。代替大会の可能性もあるから準備はしっかりしよう」と呼びかけた。

グラウンドでは一転、優しさは持たない。目標は「トリプルスリー」だ。181センチ、87キロの大型内野手は「スケールの大きい選手になりたいと思っている」と力を込める。中日の二遊間には福永、龍空、村松ら20代の若手がひしめく。「グラウンドでは優しさは必要ないので。その競争に勝っていかないといけない」と闘志を燃やす20歳が1年目から勝負をかける。【黒須亮】

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