【ホノルル(米ハワイ州)15日(日本時間16日)=為田聡史】あの男はどこで何をしているのか-。巨人阿部慎之助監督(44)がチーム最年長の長野久義外野手(39)に異例のメッセージを送った。色紙に「長さん、まだまだこれから!」と直筆で記した。坂本とともに現役時代から合同自主トレをしてきた間柄。能力、性格、気質を熟知する。来季は30代最後のシーズンとなるベテランを重要な戦力の「ワンピース」に位置づけた。

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阿部監督が色紙に筆を走らせた。「まだまだこれから!」。名球会で滞在中のホノルルのサンセットが“あの時”を思い起こさせた。現役時代のグアム自主トレは、ビーチ沿いのホテルを定宿としていた。サカチョーを引き連れ「長さんは『どうサボるか』という部分は天才だった。でも、それがダメだとは思わない。結果を出せばいい。プロですからね」と笑った。

長野とはプロ1年目のオフから“阿部組”の一員として、グアム自主トレで多くの時間を共有した。長野はランニングメニューで合図よりも先に飛び出し、帳尻を合わせた。1本だけ持ち込んだバットには、ほとんど打球痕もつかないまま帰国。ひょうひょうと毎日を過ごし、キャンプインするのが通例だった。

不変こそが長野の特性だと理解している。阿部監督は「打撃フォームはシーズンを通してまったく変わらない。自分の形を持っているのが長さんの強み」と解説。スランプが短く、好不調の波が少ない。11年は首位打者、12年は最多安打のタイトルを獲得した。

阿部監督がプロ通算2000安打を達成したのが38歳だった。来季、39歳で挑む長野を「やっぱりタイトルホルダーですからね。能力はもちろん、負けん気、気持ちが強い。現役で一緒にやっていたときから、ずっと変わらない」と話した。一方、長野本人は契約更改後の会見で「山ごもりします」と今オフは自主トレの詳細は一切明かさず、雲隠れをほのめかした。

いつもの“長さんスタイル”だけに指揮官は何も心配していない。むしろ「2月のキャンプではぜひ、長さんにティーを上げさせてもらいたい。勇人と、一緒にね。楽しみにしています」と再会を心待ちにする。若手があまりのキツさに膝から崩れ落ちてもん絶する「恐怖のティー打撃」に、ベテラン長野を指名した。

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