監督、今年はガンガン打ちたいです! 阪神近本光司外野手(29)が岡田彰布監督(66)へ、24年は超積極打法で200安打にチャレンジすることを紙面上でアピールした。元阪神、ロッテの鳥谷敬氏(42=日刊スポーツ評論家)と初対談。15年に西武秋山が記録したシーズン安打記録「216」超えを期待されると、大先輩のアシストも受け紙面を通じて指揮官に思いを伝えた。球団初のリーグ連覇へ臨む1年。不動の1番がレジェンドと語り尽くした。【取材・構成=中野椋、佐井陽介】

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鳥谷氏 明けましておめでとう! このオフは忙しいんじゃない?

近本 明けましておめでとうございます! トリさんとの対談は初めてですね。忙しいです。今日(対談日)も、この時間にウエートしようかなと思っていたんですが…(笑い)。

鳥谷氏 断ってよ(笑い)。よろしくね。早速だけど、去年1年間はどうだったかな。

近本 去年はみんな思ったよりもいい成績を残せていないので、それは良かったんじゃないかなと。みんなが調子良くて優勝したら、今年が心配になる。みんな物足りなさがあるので、今年も引き締まっていけるんじゃないかと思います。

鳥谷氏 日本一になったからこそ、今年に向けて「入りづらさ」みたいなものはないかな?

近本 僕は全然ないです。優勝した実感はありますけど、だからといって「俺らが1位!」みたいな感じには思っていないので。

鳥谷氏 ケガもあったよね(※1)。どうだった? チームを離れる時の気持ちは。

近本 カネさん(金本氏)、トリさんがいたから「肋骨(ろっこつ)ぐらいの骨折だったら大丈夫なのかな? 出ないといけないのかな?」と思っていたんですよね。

鳥谷氏 いやいや、大丈夫じゃないでしょ。良くない伝統だね(笑い)。

近本 トリさんが流れをつくってくれたから「僕も早く帰らないと」っていう気持ちで治せました。それがなかったら、もっとゆっくりしていたかもしれないです。

鳥谷氏 今年の目標は? チームの目標は…。

近本 連覇っていう…。

鳥谷氏 するしかないね。名前を刻んでいくためには誰もしてないことをね。

近本 でも、優勝とか日本一を考えるのって監督とフロント(の仕事)かなって。選手は自分の成績を伸ばすためにやって、それで勝つ。勝たせるのは監督かなと。

鳥谷氏 書いといて(笑い)。負けたら監督のせいって(笑い)。

近本 ハハハハハ(笑い)。でも勝ったら監督! 監督! ですね。

鳥谷氏 個人的にこだわりたいポイントは?

近本 去年は監督が「フォアボール(が大事)」と言っていましたし、ヒット数が伸びないのは仕方ないと思っていました。今年は、やっぱり打ちたい。打たないと分からないことが多いので、どんどん打っていきたいです。

鳥谷氏 (安打数)200本いっちゃう?

近本 200本いっちゃいたいですね。

鳥谷氏 今、(シーズン安打数の)記録は?

近本 (15年西武秋山の)216本ですかね。

鳥谷氏 いけるね。

近本 シーズンに入れば試合の状況やチームの方針もあるじゃないですか。

鳥谷氏 調子がいい時は少々ボール気味でも打っちゃって、調子が悪くなった時にフォアボールを取って。去年考えた技術を使えば、そのスイッチを変えていければ何も言われないと思うよ。

近本 去年、シーズン中は初球を打たない場面もありました。初球からいくのは怖い時もありますけど、日本シリーズでは初球からガンガンいって(※2)。今年はどうしようかなと。

鳥谷氏 「あいつはどんどん打ちたいんだ」っていうのを新聞を通してね、ガンガン打っていくって雰囲気に持っていくのもいいんじゃない? 岡田監督は全部見てくれているから。

近本 それじゃあ…もっと今年はガンガン打ちたいです!

※1…昨年7月2日の巨人戦で高梨から右脇腹に死球を受け、右肋骨を骨折。一時戦線離脱も、同22日のヤクルト戦で1軍復帰。

※2…昨季のレギュラーシーズン67四球は近本のキャリアハイ。一方で日本シリーズでは初球から積極的にスイングを仕掛け、打率4割8分3厘でシリーズMVPに輝いた。

◆近本光司(ちかもと・こうじ)1994年(平6)11月9日生まれ、兵庫・淡路市出身。社-関学大-大阪ガスを経て18年ドラフト1位で阪神入団。プロ1年目にセ・リーグ新人最多記録の159安打。盗塁王4度、最多安打1度、ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞3度。21年から3年間選手会長を務める。昨年の日本シリーズではMVP。171センチ、71キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸3億2000万円。

◆鳥谷敬(とりたに・たかし)1981年(昭56)6月26日生まれ、東京都出身。聖望学園3年夏に甲子園出場。早大2年春に東京6大学史上最速タイで3冠王。03年ドラフト自由枠で阪神入団。1939試合連続出場はプロ野球2位、17年には通算2000安打を達成。20年3月にロッテ移籍。21年限りで現役引退。13年WBC日本代表。ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞5度。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。

 

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