阪神近本光司外野手(29)が、今後の「野球人生のプラン」を明かした。元阪神、ロッテの鳥谷敬氏(42=日刊スポーツ評論家)と初対談。11月に30歳を迎えるプロ6年目。野球人生の終わりや引退後について、虎の大先輩を語り合った。【取材・構成=中野椋、佐井陽介】

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鳥谷氏 どうかな、30歳くらいになって、これからの野球の人生プランみたいなものは。あと5年して、その後に監督しますとか…。

近本 僕は「10年できたらいいや」と思って(プロに)入ったので。5年やって、あと5年はとにかく頑張ろうと。その先はもう、その時にならないと分からないと思うので。長くやりたいってわけでもないかなって思いますね。引退して監督とかコーチとか、今はやりたくないと思っているので、それがどういう風に変化するか。だからトリさんがね、どういう風な活動になっていくのか。

鳥谷氏 俺は関係ないでしょ(笑い)。

近本 現役中、絶対にしないっておっしゃってたじゃないですか。なのに、やっぱりコーチ、監督をやるってなったら、自分もなんか、そういう風になるんだなって思うようになるので。

鳥谷氏 まあ、やめたら分かるよ。自分がやりたい、やりたくないだけじゃなくて、もしかしたら自分に順番が回ってきたら、とんでもないことになる可能性があるとか(笑い)。自分も今も野球界に携わって、社会人野球とか行ったりしているんだけど(※1)。そこらへんの心境の変化はだいたい、みんな前と違うじゃんってなってくる。それはしょうがない。でも例えばプロじゃなくてもっと下の世代、小学生とか中学生とか高校生でもいいし。

近本 野球を教えることは難しいと思っているので。自分の感覚でやるのって簡単じゃないですか。でも、人に教えることって、教えることが上手な人とか伝えることが上手な人が、才能だと思います。現役で結果を残したからコーチとしてすごいってわけでもないかなと思うので。だったら自分は多分、そういうタイプじゃない。それだったら子どもたちに野球じゃないところを何か教えたり、経験させてあげられるような架け橋というか、間に入りたいなと思います。

鳥谷氏 難しいね。

近本 野球が全てじゃないと思っているので。その中から誰か1人、プロ野球選手とかが来てくれたらいいですけど。

鳥谷氏 淡路島に帰って。

近本 はい、淡路島に帰って。

※1…22年から社会人野球の強豪、パナソニックのコーチに就任。昨年の都市対抗予選でベンチ入りするなど精力的に指導している。

◆近本光司(ちかもと・こうじ)1994年(平6)11月9日生まれ、兵庫・淡路市出身。社-関学大-大阪ガスを経て18年ドラフト1位で阪神入団。プロ1年目にセ・リーグ新人最多記録の159安打。盗塁王4度、最多安打1度、ベストナイン3度、ゴールデングラブ賞3度。21年から3年間選手会長を務める。昨年の日本シリーズではMVP。171センチ、71キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸3億2000万円。

◆鳥谷敬(とりたに・たかし)1981年(昭56)6月26日生まれ、東京都出身。聖望学園3年夏に甲子園出場。早大2年春に東京6大学史上最速タイで3冠王。03年ドラフト自由枠で阪神入団。1939試合連続出場はプロ野球2位、17年には通算2000安打を達成。20年3月にロッテ移籍。21年限りで現役引退。13年WBC日本代表。ベストナイン6度、ゴールデングラブ賞5度。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。

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