巨人アマチュアスカウトから社会人野球のミキハウスに電撃復帰した、桜井俊貴投手(30)が10日、三重県伊賀市の野球部グラウンドでチームに合流した。

15年に立命大からドラフト1位で巨人に入団した桜井は、22年オフに戦力外通告を受け23年に球団スカウトに転身。1年のブランクを経て社会人野球に復帰した。

スカウトとして活動した、2023年は約100試合を視察していた。常日頃から「やりたいことをやるのは、人生で大事」と古巣の水野雄仁スカウト部長(58)から語りかけられていた。選手復帰の意志を古巣の水野氏へ告げると「すごくいい話じゃん。応援してる。また試合に行くよ」。水野氏も引退後、1年のブランクを経て32歳で現役復帰経験があった。後押しを受け、桜井は「また東京ドームで投げたい」と力を込めた。

桜井と大学時代に同じリーグで対戦した、ミキハウスの大西友也内野手(29=同大)は「前は敵やったから今は味方でうれしいです。初対戦したときは、2年生ですでにエース。1回もスイングできず3球で見逃し三振に追い込まれました」と苦笑いで振り返った。

続けて、大西氏はチームの「おきて」を明かした。平日は午前中に業務を終えると、昼食、着替え、グラウンド整備の練習準備をナインは1時間以内にこなす。「仕事は仕事。練習は練習と切り替えてパッと食べてすぐグラウンドに行く。切り替えの速さは当たり前にやっている」。

同チームの投手コーチで、楽天と阪神に7年間在籍後、1年間のブランクを経て現役復帰した、松崎伸吾投手コーチ(40)は「多分野球が好きで、野球小僧なんでしょうね。僕もそうなんですけど」。

プロとアマチュア野球の違いを、こう説明する。「プロは自分(個人事業主)ですけど、社会人はチーム(会社)の結果になる。そこが全然違いますね。チームが勝てないと意味がないので」。同チームは昨年末をもって13人いた投手のうち6人が勇退したチーム事情がある。「チームにとっていい影響を与えることも期待しています。知識もあるし、いい刺激になれれば」と加入を歓迎した。

桜井は新天地ミキハウスで、サラリーマンと野球部の両立を目標に掲げる。「体も元気で不安はない。仕事と野球の両立は大学との両立とは違うので、経験値として厚みが出たら。社会人野球で成長できたら」と話した。【中島麗】