巨人のジョージが大暴れした。24日、広島とのオープン戦(沖縄)で、ドラフト3位・佐々木俊輔外野手(24=日立製作所)が23年ぶりとなる新人野手の開幕スタメンに名乗り出た。「7番DH」でスタメン出場すると、逆方向を中心に打ち、4安打3打点で激戦の外野手争いを1歩リード。阿部監督が新風を吹き込んだ打線は、3回の打者一巡の猛攻など2試合連続2桁安打で10得点をもたらし、快勝でオープン戦2連勝を収めた。

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この男は何なのか。ジョージことルーキー佐々木が、4安打3打点と逆方向へ固め打ちした。「自分の持ち味はそっちの方向。きた球にしっかりアプローチしていくだけです」。第1打席の2回1死一塁では左中間へ、3回の1死二、三塁では左翼線に切れることなく2打席連続適時二塁打を運んだ。単打も絡め新人のオープン戦4安打は07年以来。敵も味方もファンまでも、その存在が気になり始めたに違いない。

沖縄の風に吹かれるまでは、なかなか芽が出てこなかった。1軍キャンプスタートも、宮崎での紅白戦では4打数無安打に失策も重なった。攻守両面での失敗を受け、阿部監督は「今(ミスが)出て良かったね」と、結果を問わずにどこ吹く風。2次キャンプ地の那覇に入ってから一転、対外試合3試合13打数8安打9打点と猛打を見せつける佐々木は「変化球のキレというのをまだ見極められてない」。そういってしっかりと地面に根を張った。

阿部監督の言葉が栄養となって、少しずつ体に染み込んだ。「ショートゴロを打ってこい」。力任せに力み過ぎていたことに気付いたのは2週間前だった。「ただ単に振り回していただけのスイングになっていた。勝手な解釈ですけど、それを含めたアドバイスだったと思ってます」。激戦の外野手争いで1歩リードし、新人野手では01年阿部監督以来23年ぶりの開幕スタメンも現実を帯びてきた。

社会人の日立製作所での2年間をへてプロ入りしたオールドルーキー。同社のスローガンは「Inspire the Next(次の時代に新しい風を吹き込む)」。入寮時、「おさるのジョージ」に似ていることで呼び掛けた愛称の「ジョージ」も「しっかりと覚えてもらえているのはうれしい」と浸透。でも、まだオープン戦。「感覚はつかめてますけど、いろいろ課題はありますね」。木は登るものじゃない。新風を吹き込みながら、大樹のごとくラインアップにそびえ立つ。【栗田成芳】

◆巨人の外野手争い 右翼は新外国人オドーアが最有力。左翼は丸と秋広が争う。丸は右脇腹の違和感で大事をとって別メニュー調整中だが打撃の改良を加え手応えを強調。秋広も宮崎でのゴジラ塾で直接指導を受け、ものにできるか。中堅は大激戦区で松原、オコエ、萩尾、ルーキー佐々木が横一線となっている。

 

◆佐々木俊輔(ささき・しゅんすけ)

▼生まれ 1999年(平11)11月6日、東京・日野市生まれ。

▼球歴 高幡イーグルス-羽村シニア-帝京-東洋大-日立製作所

▼愛称 「ジョージ」。顔が人気アニメ「おさるのジョージ」の主人公に似ていることが理由。入寮時も2つのぬいぐるみを持参。

▼元サッカー少年 小学校まではサッカーとの二刀流。元日本代表MF中村俊輔氏の大ファン。小学校のテストで名前の欄に「佐々木俊輔」ではなく、自然と間違えて「中村俊輔」と書いてしまったことも。「書いた記憶がなくて、自分でもびっくりした」

▼趣味 車。社会人時代にジープのコンパスを購入。現在は実家で両親が乗っている。

▼50メートル走 6秒0

▼遠投 110メートル

▼契約金・年俸 6000万円・1200万円(ともに推定)

▼サイズ 174センチ、80キロ

▼投打 右投げ左打ち

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